研究概要 |
高レベル放射性廃棄物のガラス固化時におけるFP成分の蒸発を抑制することは、安全確保上重要である。それで、クヌ-セン流出質量分析法を用いて、模擬高レベル放射性廃棄物を含むホウケイ酸ガラスからのCs、TeやSrなどの化学活量を求め、活量変化より、ガラスを構成する成分によるCs、Te、Srなどの分圧抑制効果を定量的に調べた。 1.R_2O-B_2O_3-SiO_2(R=Li,Na,K,Rb,Cs)系ガラスはRBO_2-SiO_2擬2成分系ガラスと見なされるが、このガラスではCsBO_2成分の活量が、RBO_2の中では最も小さく、PFとして重要なCsは、ホウケイ酸ガラスより熱化学的に最も蒸発しにくいアルカリ元素である。 2.共存するアルカリによるCsの蒸発抑制効果を明らかにするために、R_2O-Cs_20-B_2O_3-SiO_2(R=Li,Na,K,Rb,)系ガラスの蒸発挙動を調べた。CsBO_2(g)の分圧は、LiまたはNaが共存するとき、KまたはRbが共存する場合より抑制される。これは、Csと他のアルカリとの相互作用エネルギ-が、LiよりRbになるにしたがって小さくなることが知られており、この熱化学的傾向から、定性的に説明できる。 3.ホウケイ酸ガラス中のTe成分の化学活量は、Cs成分のそれより小さく、Teも蒸発は著しく抑制される。 4.Sr0-B_2O_3-SiO_2組成のホウケイ酸ガラスの蒸発を調べ、SrはSr(g)、SrBO_2(g)およびSrSiO(g)として蒸発することを見いだした。 5.ホウケイ酸ガラス中のSr成分の化学活量は周期律表で隣りのRb成分のそれより大きい。これは、Srの蒸発がRbより熱化学的に抑制されにくいことを示す。
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