研究概要 |
岩屑流の流下に伴う岩盤の浸食に関する定量的研究は全く行われていない。そこで,この問題に関する基礎的知識を得るため,まず岩屑を含んでいない流水による岩盤侵食についての水路実験を行った。種々の強度をもつ人工岩石に流水を作用させて侵食状況を定量的に調べた。なお,この実験においては,現地岩盤によく見られる割れ目をシュミレ-トした隙間を人工的に入れてある。割れ目付近における流れの場を把握するために可視化実験も行われた。次のような結果が得られた。割れ目内に水が流入する時,水粒子は下流側エッジに衝突して圧縮力を作用させる。そのため,そこでは他の部分より侵食が進行する。割れ目幅が大きいほど侵食は顕著となる。また人工岩石の強度が小さいほど割れ目の影響が表われやすい。下流側エッジの侵食が或る限界値に達すると水粒子の衝突が生じなくなり,上流側と下流側両方のエッジに作用する侵食力の差が小さくなり両者間の比高は時間的に一定となる。 次に行った水路実験では,岩屑流をシュミレ-トした混濁流(水と粗砂の混合流)を一定流速で,強度の異なる岩盤に作用されて侵食状況ならびに侵食速度と岩盤強度との関係を調べた。岩盤は現地でサンプリングしたものを整形し,表面を平らに研摩したものを用いた。実験の結果、侵食が生じたケ-スにおいては、岩盤の侵食深は時間とともにlinearに増加することがわかった。そこで平均浸食速度,R,を求め,これを岩盤の圧縮強度,Sc,との関係を片対数グラフ用紙上にプロットした結果,次式が成立することがわかった。 R=0.17(4.3-lnSc) ここにRの単位はmm/hr,Scの単位はkg/cm^2である。なお,上式は,岩盤侵食にはthresgoldが存在することを示している。
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