研究概要 |
欧米の教育用コンピュ-タソフトウェア-に成り込まれた教育内容。方法に関する着想を調査 整理し,それらを念頭においたソフトウェアを試作し,中学生から学部学生を対象に試用した結果から,着想の効果を定量的,定性的に検証した。具体的には,以下の成果を得た。 1.約350点の米国製ソフトウェアを入手し,その内23点のシミュレ-ションの型のソフトの着想について教授様式・制御様式,変数,導入,助言,模擬,音や絵の出力,ゲ-ミング,賞替,説明,入力の方法等の観点で類別・整理した。この結果,学習の制御の観点では「教授,練習演習,問い合わせ等の様式が一つのソフトウェアに統合されて組み込まれており,これが学習効果の向上に寄与している」と概括できた。 2.これらの制御様式を組み込んだ,マイクロ操作に基づいた低水準言語によるプログラミング教育用のシミュレ-ション型のソフトウェア-を試作した。このソフトウェアは,構成要素間のデ-タ転送の制御やプログラムの実行を行うシミュレ-タ部,系統的な学習情報を提供する教授部,学習の流れを制御する練習・演習部,学習情報をテキストや画像で提供する専門知織部,誤操作への助言の機能を持つ診断・処方部等がシミュレ-ションによる比較的自由な学習を支援するところに特微がある。 3.このソフトウェアを,中学校の生徒,専門学校や学部学生の初心者を対象としたプログラミングの教育に使用したところ,シミュレ-タ部に加えて,教援部,練習・演習部,及び既に開発してあるモックアップ型のシミュレ-タを併用して学習した群が,高い学習効果をあげた。さらに意織調査の結果からも,学習者は単にシミュレ-タを実習の教具として与えられるだけではなく,教授,練習演習,専門知織,誤操作への助言などが統合された学習環境を望むことが判明した。この点で,着想の本邦の教育システムの適用が可能であることを実証的に示した。
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