研究課題/領域番号 |
63602010
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
茅野 充男 東京大学, 農学部, 助教授 (10007677)
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研究分担者 |
鈴木 和夫 国立公害研究所, 環境保健部, 室長 (90109918)
斎藤 寛 長崎大学, 医学部, 教授 (80004901)
小畑 仁 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (70024594)
中原 英臣 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (10056997)
森 忠洋 島根大学, 農学部, 教授 (20166359)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
1988年度: 11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
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キーワード | 下水汚泥 / 重金属耐性 / 亜鉛耐性菌 / メタロチオネイン / 経気道吸収 / 腎尿細管障害 / 銀耐性菌 / 銅蓄積 |
研究概要 |
対象とする生物種によって微生物、植物、ヒト・動物の3グループで相互に連絡し合いながら検討を進めた。まず微生物グループでは、家庭生活から排出される重金属のプールとなる下水汚泥中の重金属濃度と汚泥の滞留時間(SRT)の関係を検討したところ、SRTが10日程度の時汚泥中亜鉛濃度が極大になった。また汚泥から分離されたSerratia marce scelのプラスミドを導入したE.coliが一定濃度以上の亜鉛を排出する機構を有することを認めた。さらに汚泥から分離された銀耐性菌を同定したところEnterbacter cloacaeであった。 植物グループでは、水稲を用いて銅を蓄積する品種と比較的蓄積しにくい品種を選び銅の挙動について検討した結果、子実への銅蓄積は師管転流に支配されていることが認められた。ダイズでも同様な実験を行ったところ、銅の子実への蓄積と耐性とは関係が少ないことが示された。また免疫抗体を用いたRIAにより検討した結果、ダイズの根がメタロチオネイン誘導生成すること、水稲の根は誘導しないことが認められた。一方各種植物の根で、とり込まれたカドミウムの量に応じてSH化合物が誘導されるが、カドミウムのレベルを揃えて比較しても、植物の種類によって誘導量には差のあることが認められた。SH化合物誘導量の大きい植物は一般に、カドミウムによる急性障害が軽微であった。 ヒト・動物グループでは、経気道吸収によってとり込まれたカドミウムが肺中で水溶性のイオンとなり、しかもメタロチオネインの生成速度が肺組織中では遅く、このことが経気道吸収の毒性の強さと関連するものと推定された。また汚染農地復元工事に伴う、カドミウムとり込量の変化と腎尿細管障害の程度について検討したところ、復元工事前にカドミウムレベルが低かった人は完了後カドミウムレベルがさらに低下した。この間に腎尿細管障害の進んだ例と回復した例がみられた。
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