研究課題/領域番号 |
63602512
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金澤 普二郎 東京大学, 農学部, 助手 (10011967)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1988年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 揮発性塩素化合物 / トリクロロエチレン / テトラクロロエチレン / 1.1.1.-トリクロロエタン / 土壌呼吸量 / 微生物バイオマス / 土壌微生物 / 水田土壌 |
研究概要 |
各種揮発性有機塩素化合物は、ハイテク産業や金属工業のあらゆる分野で脱グリスや洗浄に多量に使われており、広範な環境汚染をもたらしている。土壌や地下水に混入した有機塩素化合物は、土壌中の微生物の量と活性に影響を与え、生態系での物質循環を攪乱していることが予想される。そこで使用量が多いテトラクロロエチレン、トリクロロエタンおよび1.1.1.-トリクロロエタンを選び、これらの物質が水田土壌の土壌呼吸量及びバイオマスに及ぼす影響を調べた。 結果:1)湛水状態の土壌呼吸量はいずれの有機塩素化合物の添加によっても抑制された。この抑制効果は、添加量が多いほど顕著であった。なお、土壌呼吸量の阻害は有機塩素化合物の種類によって異なっていた。(1.1.1.-トリクロロエタン>トリクロロエチレン>テトラクロロエチレン)。 2)畑状態の土壌呼吸量はいずれの有機化合物も多量の添加によって抑制された。しかし、この抑制程度は湛水状態におかれた土壌に比べれば、低かった。 3)有機質肥料区は、化学肥料や無肥料区に比べて、有機塩素化合物添加による土壌呼吸量の抑制が現れ難かった。 4)有機塩素化合物の添加が土壌のバイオマスに及ぼす影響は、湛水及び畑状態ともに有機塩素化合物の添加が土壌の呼吸量に及ぼす影響に対応した。 結論:以上の結果に基づくならば次のことが推論できる。イ)有機塩素化合物が土壌の微生物活動を阻害する効果は水稲作付期間の方が、落水期間よりも大きい。 2)有機塩素化合物が示すこの阻害効果は、堆肥等の有機質資材の施用により緩和される。 3)有機塩素化合物の少量添加が畑状態にかれた土壌の呼吸を促進する効果は、部分殺菌効果の一種と考えられる。 4)湛水状態におかれた土壌の呼吸量に及ぼす有機塩素化合物の阻害効果は有機化合物の溶解度と関係がある。
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