研究課題/領域番号 |
63602535
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安田 峯生 広島大学, 医学部, 教授 (50079688)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1988年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ジオキシン / ダイオキシン / TCDD / グルタチオン / p-450モノオキシゲナーゼ / 発生毒性 / 口蓋裂 / 水腎症 |
研究概要 |
2、3、7、8四塩化パラジオキシン(TCDD)は極めて毒性の強い物質でマウス、ラットなどの実験動物で発生障害作用を示すことが知られている。一方、グルタチオンは活性のハロゲンやニトロ基をもつ化合物と抱合体を生成し、毒性物質の解毒、排泄に重要な役割を果たしている。また、TCDDの代謝にはチトクロームP-450モノオキシゲナーゼ系が関与しているとされる。本研究では、体内のグルタチオン濃度を低下させるブチオニン・スルホキシミン(BSO)、または肝臓のチトクロームP-450モノオキシゲナーゼを誘導する3メチル・コランスレン(3MC)前処置により、マウスにおけるTCDDの発生障害作用がどのように修飾されるかを検討した。Jcl:lCRマウスを交配し、前処置として、妊娠12日(膣栓=0日)にプロピレン・グリコールに懸濁したBSOの200mg/kg、または妊娠8日にコーン・オイルに溶解した3MCの50mg/kgを腹腔内に投与した。次に催奇形処置として、妊娠12日にコーン・オイルに溶解したTCDDの5ないし20μg/kgを経口投与した。妊娠18日に胎仔を取り出し、口蓋裂及び水腎症の有無を検索したところ、BSOによってはTCDDの口蓋裂及び水腎症誘発作用はほとんど修飾されなかった。3MCによる修飾実験では、TCDD20μg/kg投与による口蓋裂の頻度が、コーン・オイル前処置群で82%であったのに、3MC前処置群では57%とやや低下した。現在例数を増し、用量反応関係を検索中である。なお、これまでに得られたデータから、胎仔の性によるTCDDの催奇形作用に対する感受性の差を調べたところ、口蓋裂誘発に関しては明瞭な性差は認められなかったが、水腎症誘発に関しては明らかに雄胎仔の方が雌胎仔よりも感受性が高かった。TCDDの発生毒性感受性に性差が見られたことは、TCDDとステロイド・ホルモンの作用発現機構の類似性の観点から興味深く、今後さらに追究したい。
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