研究課題/領域番号 |
63604015
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
入江 正浩 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (30001986)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1988年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 光応答性高分子 / 高分子ゲル / 電場効果 / 相転移 / 相分離 |
研究概要 |
わずかの光量により大きく変形する感度のよい高分子ゲルを作成するには、相転移変形現象を利用するのが有効である。相転移温度付近においては系は不安定な状態にあり、わずかの摂動により、より安定な状態へ移行する。この摂動として光異性化反応を利用すれば、感度のよい高分子ゲルの構築が期待される。この基礎として、溶液系の相転移現象の1つである相分離を光照射により誘起することを試みた。 アゾベンゼン基を2.7mol%含むポリ(Nーイソプロピルアクリルアミド)水溶液は、アゾベンゼン基がトランスの場合19.4℃において相分離が認められたが、紫外光照射によりシス体へ異性化させると、相分離温度は26.0℃にまで上昇した。この系では19.4℃<t<26.0℃の温度範囲において、光誘起相分離が起こることになる。アゾベンゼン基の含量を変えて相分離温度の光変化量をプロットすると、相分離温度の光変化は非常に狭いアゾベンゼン基含量(2.0〜3.1mol%)においてのみ観測されることが明らかとなった。相分離という相転移現象が、疎水性と水素結合との微妙なバランスに支配されているためと考えられる。高分子ゲル系へ応用するには、アゾベンゼン含量の最適化が重要であることが明らかとなった。 トリフェニルメタンロイコシアンドを含むアクリルアミドゲルが光照射下、電場を印加することにより振動する機構の解明をめざし、添加塩効果を検討した。振動の応答速度は添加するカチオンのサイズに依存し、MgCl_2添加系において最も速い応答挙動が観測された。アニオンのサイズを変化させることも試みたが、アニオンのサイズ効果は認められなかった。この結果は、電場下での変形がゲルのごく表面が関与している現象であることを示唆している。
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