研究課題/領域番号 |
63604523
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
十倉 好紀 東京大学, 理学部, 助教授 (30143382)
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研究分担者 |
腰原 伸也 東京大学, 理学部, 助手 (10192056)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 光誘起効果 / フォトクロミズム / ポリジアセチレン / 電荷移動錯体 / 2色性相転移 / 過渡応答 |
研究概要 |
レーザー光照射等による光刺激によって高速の光学的性質の変化(光誘起効果)を示すことが期待される有機固体(電荷移動錯体、共役ポリマー)について、これらの効果を含む光物性を明らかにする目的で、本研究を実施した。本年度は、特に(1)共役ポリマーポリジアセチレンの光誘起相転移の動的挙動と、その温度色相転移との関連、および(2)イオン性の電荷移動(CT)錯体での強い光誘起効果とその格子構造転移との関連、の2点について集中的な研究を行った。(1)の研究に関しては、2色性(A相、B相)を示し、長鎖アリキル基またはアリキルウレタン基を置換基としてもつポリジアセチレン(PDA)の多結晶薄膜を対象に、ナノ秒色素レーザー励起による過渡応答および励起光エネルギー依存性を調べた。その結果、強い励起子吸収の0.4eV以上高エネルギー側を励起した場合には、PDA固体中に荷電担体が生成され、青→赤の色相変化を伴うA-B転移が光モードで起こることを確認した。この光誘起相転移は、ほぼレーザー光パルス(10ナノ秒)の時間内で生ずる高速の過程であるが、一部側鎖基の再配列を伴う遅い過程(1マイクロ秒〜7秒)があることも明らかにした。また、アルキルウレタン基を有する多くのPDA結晶で温度可逆の相転移を新たに見い出し、その電子状態と構造度化の詳しい知見を準稿し、光誘起変化との関連を検討した。(2)のCT錯体の系については、特に積層格子の2量体化(パイエルス変形)が生じる相転移温度近傍を中心に、光励起による低エネルギー励起(ソリトン、ポーラロン等)の生成に由来する光誘起効果を調べた。多くの場合に、パイエルス(スピン・パイエルス)転移点以下できわめて大きな光誘起効果が現れ、またその動的挙動は1次元鎖上の低エネルギー励起種の再結合過程として理解することができた。
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