研究課題/領域番号 |
63604536
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
細矢 治夫 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (10017204)
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研究分担者 |
鷹野 景子 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (00143701)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 電導性高分子 / 芳香族炭化水素 / 分子軌道法 / 状態密度 / 環状二量体 / 結合交替 / HOMO-LUMOギャップ / グラフ理論 |
研究概要 |
周期的構造をもつ不飽和共役系のπ電子系の電子構造、特にその状態密度のプロフィールが、単位構造とその結合のトポロジーとどのようにかかわるかを解析的に検討してきた。これまでに得られた結論として、(1)状態密度のプロフィールは、仮想的な環状のダイマーの軌道エネルギーによってほぼ決まる。(2)HOMO-LUMOギャップの大小は、HMOからPPPまで近似を上げてもその平行関係はかなりよく保たれている。(3)大きな不飽和π電子系の部分構造の大局的な構造は、その共鳴構造式、すなわちKeKuLe構造を描くことによって、かなりよく予測できる、等がわかった。 今年度は、主にカタ縮合の芳香族炭化水素骨格に様々な枝分かれをさせた場合に、状態密度のプロフィールがどのように変わるかを系統的に調べた。HMO法の軌道エネルギーの状態密度はできるだけ解析的に求め、これらのデータの解析を行なうことによって、高電導や超電導を示す興味ある高分子の分子設計に有益な知見が得られた。 線形のポリアセンの状態密度はHOMO-LUMOギャップをもたない。これに規則的なπ電子系の枝分かれをさせると、(1)ギャップを生じない、(2)小さなギャップ、(3)大きなギャップを生じる、3つのグループに分かれることがわかった。このグループ分けが、枝分かれによる共役系の変化として共鳴構造式から容易に推定されることがわかった。 ポリパラフェニレン、ポリアントラセン、ポリテトラセンの状態密度にはHOMO-LUMOギャップがあるのに、ポリナフタレンとポリペンタセンにはギャップがない。これは後者の仮想的環状単量体にNBMOがあるのに、他の仮想的単量体にはNBMOがないためであることがグラフ理論的考察からわかった。この系列で再びギャップが消えるのは、ポリペンタセンの系列になることも予言される。
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