研究課題/領域番号 |
63604578
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新海 征治 九州大学, 工学部, 教授 (20038045)
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研究分担者 |
有村 隆志 九州大学, 工学部, 助手 (30184295)
和田 冨美夫 九州大学, 工学部, 助手 (90108671)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1988年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 物質輸送 / 液膜 / 高分子-液晶複合膜 / ウラニルイオン / カリックスアレーン / 刺激応答 |
研究概要 |
生体系における高効率の物質輸送を人工的に再構築する目的で、本年度は下記の2点について重点的に研究した。 1.カリックスアレーンを用いるウラニルイオン(UO_2^<2+>)の認識 UO_2^<2+>は擬平面5、6配位構造をとる珍しい金属イオンである。この現象を利用すると、平面5、6配位に前組織化された環状配位子はUO_2^<2+>を選択的に結合することが期待される。この仮説を立証するためθ-カルボキシル化P-t-ブチルカリックス〔n〕アレーン(n=4〜8)によるUO_2^<2+>の液々抽出を実施した。その結果、5、6量体のみが高いUO_2^<2+>抽出能を示し、UO_2^<2+>選択性とUO_2^<2+>の分子軌道構造の間に相関関係が存在することが明らかとなった。液膜系においてθ-カルボキシル化p-t-ブチルカリックス〔5(あるいは6)〕アレーンをイオン輸送担体に用いた場合も同様の傾向が認められた。 2.高分子-液晶複合膜系における刺激応答のUO_2^<2+>輸送 高分子とN-4'-エトキシベンジリデン-4-ブチルアニリン(EBBA)より複合膜を作製しθ-カルボキシル化カリックス〔6〕アレーンを液晶相に溶解させた。この複合膜系においては、結晶-液晶相転位温度(32℃)の上下でUO_2^<2+>の輸送速度が劇的に変化し、温度による輸送速度の制御が可能であることが明らかとなった。また、θ-カルボキシル化カリックス〔6〕アレーンのUO_2^<2+>抽出能のpH依存性を利用して、中性水溶液から塩基性水溶液へUO_2^<2+>を能動輸送できることも明らかとなった。能動輸送速度はpH勾配に比例し、pHを刺激源とする輸送速度の制御が可能となった。 以上の結果より、UO_2^<2+>イオンを選択的に抽出、輸送し、かつその速度を刺激により制御する系が新たに構築された。
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