研究課題/領域番号 |
63604585
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医用工学研究施設, 助教授 (00130237)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1988年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 感温度ハイドロゲル / インターペネトレイトネットワーク / 膨潤-脱膨潤変化 / ON-OFF透過制御 / 、ON-OFF放出制御 |
研究概要 |
各種疾患によって生体に引き起こされる物理的・生化学的な異常に対して、これらの異常をシグナルとして特異的に感知し、物質移動性を変化させる機能性材料は、新しい治療・診断分野での応用を開拓するものであり、特に、センサー機能をもつ革新的な薬剤を実現するものである。本研究は温度変化に対する高分子ゲルの膨潤変化の量、応答速度、可逆性を制御する高分子の合成手法を確立し、温度変化を0N-0FFスイッチとした薬物放出システムを設計することを目的としている。ポリイソプロビルアクリルアミド(PIPAAm)ゲルは30℃-32℃で急激に脱膨潤し、きわめて感温性の高い膨潤変化を示す。しかし、その機械的強度はきわめて弱く、薬剤あるいは膜としての形態維持が困難である。筆者らは、ブチルメタクリレート(BMA)との共重合体、あるいは、ポリテトラメチレングリコール(PTOM)とのインターペネトレイトネットワーク(IPN)を用いて感温性を維持させ、しかも機械的強度を向上させることに成功した。さらに、ランダム共重合体ではBMA組成の増大に伴って脱膨潤する転移温度が低温側にシフトするのに対し、IPNではPTMO組成変化に対し転移温度が一定であることを見いだした。このことは、転移温度の自由に制御する重要な基礎的知見である。さらに、このようなゲルを温度変化させると、温度上昇による膨潤状態から脱膨潤状態への脱膨潤プロセスは1〜2か月の時間を有し、温度減少による膨潤プロセスでは2〜3日で完了する興味ある現象を発見した。このことは、脱膨潤プロセスにおいて、きわめて短時間(1時間程度)で密度の高い脱膨潤表面層がゲル全体をおおい、これがゲル内部の水の放出を阻害するためであることを明らかにした。このような脱膨潤表面層を利用することによって、グルコースやインスリンの膜透過性、あるいは薬物放出も完全にON-OFF制御できるということを明らかにした。
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