研究課題/領域番号 |
63605007
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯田 経夫 名古屋大学, 経済学部, 教授 (70022449)
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研究分担者 |
荒山 裕行 名古屋大学, 経済学部, 助教授 (60191863)
大橋 勇雄 名古屋大学, 経済学部, 助教授 (40094362)
宮嶌 博史 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (20130099)
原 洋之介 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (60012986)
長峯 晴夫 名古屋大学, 経済学部, 教授 (60172558)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1988年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | 東アジア / 儒教 / 経済発展 / セマウル運動 / 賃金決定 / 土地変革 / 経済発展のメカニズム / 韓国 / 中国 |
研究概要 |
1989年の2月に本年最後の研究会を開催した。この研究会の目的は本年度の成果をまとめることであり、各メンバーが過去一年間の研究成果を報告した。 長峯晴夫は、儒教的価値観が韓国セマウル運動においてどのような役割を演じたかを、洞会やプムアシなどの慣習とセマウル運動との関連、及びセマウル指導者の教育・職業経験などに注目しながら、報告した。荒山裕行は、「儒教文化圏」にどのような経済的意味があるかを、貯蓄率や経済成長率の他文化圏との国際比較を通して検討した。大橋勇雄は、現代における中国の国営大企業の賃金分配面を工資標準表などの資料をもとに検討し、中国では労働者の生活と生産とが一体となっている点を明らかにした。宮嶌博史は、季朝鮮における地租改正などの近代的土地変革が土地の所有関係をどのように変えたかを議論した。その手法は、検地帳=量案の資料にもとづいて儒者が土地に対してなんらの特権をもっているかどうかを吟味するものである。原洋之介は、韓国の事例を対象に儒教と経済発展との関係について報告した。特に、現在展開されている経済理論や論争が東アジアの発展メカニズムをどれほど説明できるか、また儒教などの非経済的要因の役割とは何かが焦点となった。 最後に、飯田経夫が総括を行なった。興味深い点は、必ずしも班全体で儒教の把握について意見が一致していないということである。長峯、荒山、原は、儒教を人々の集団的行動や貯蓄行動を説明する一つの重要な変数になりうると理解するのに対し、宮嶌と大橋は儒教をその時代の体制に従属する変数として捉えていることである。この問題については、来年度の最重要課題として検討していく。
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