研究課題/領域番号 |
63607502
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉良 満夫 東北大学, 理学部, 助教授 (40004452)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1988年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 高配位有機ケイ素化合物 / アリルシラン / ジアステレオ選択 / クロチル化反応 / クロチルトリフルオロシラン |
研究概要 |
先に我々は5配位アリルシリケートを用いてアルデヒドを位置特異的かつ高立体選択的にアリル化し得ることを報告し、高配位有機ケイ素化学が新しい超高率分子変換法の提供に大きな可能性を有することを示した。本研究はこの反応をアルデヒドおよびアルジミンのクロチル化法として確立する目的で行った。クロチル金属とカルボニル化合物の反応は増炭法として重要であるが、一般にクロチル金属の(E)-および(Z)-体の作り分けが困難であること等の問題点を有していた。本研究では従来の問題点のほとんどを解決した。 1.(E)-および(Z)-クロチルトリフルオロシランをそれぞれ立体化学的に純粋に合成することに成功した。これらの試剤は安定で長期間の保存に耐え、フッ化物イオン存在下種々のアルデヒドの位置特異的クロチル化試剤として有用である。アルデヒドとの反応のジアステレオ選択性はきわめて高く、(E)-および(Z)-クロチルシランからそれぞれトレオ-およびエリトロ-β-メチルホモアリルアルコールを高収率で生成した。この反応では、5配位ケイ素がルイス酸性を有し、かつ強い電子供与基であるので、6員環状いす型遷移状態を経由し、このためきわめて高いジアステレオ選択性を示したものと思われる。 2.(E)-および(Z)-クロチルトリフルオロシランをフッ化セシウム存在下アルジミンと反応させることにより、対応するホモアリルアミンを高収率で得た。反応はアルデヒドの場合と同様位置特異的であるが、やや厳しい条件を必要とし、反応完結のためには3-4モルのフッ化セシウムを必要とした。アルデヒドとの反応に比して立体選択性は低い。6員環状椅子型および舟型遷移状態からの反応が競争するとしてある程度ジアステレオ選択性を予測可能である点有用であろう。2、3の置換アリルトリフルオロシランの反応についても興味深い知見を得た。
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