結晶表面の電子線ホログラフィーによる観察を実現するために現在200kV透過型電子顕微鏡の試料室を超高真空仕様に改造中である。この装置ではホログラフィーの再生に通常のフィルムをつ使わずオンラインのディジタル処理を行なうため、電子顕微鏡から像を直接電気信号として取り出して計算機に入力する。そのためのシステムとして、一般に用いられているイメージインテンシファイヤーとテレビカメラを組み合わせたシステムによらず、より簡便かつ廉価でしかも電界放射型電子銃に有効な透過型電子顕微鏡用走査型像検出システムを新たに開発した。 一方、動力学的電子回折理論に基づく計算機シミュレーションによって、Au(111)表面上の原子一層のステップが原子レベルの分解能で再生可能であること、Si(111)表面の7×7構造や、Au/si(111)上の√<3>×√<3>構造を下地の原子位置と正確に対応させながら再現出来ることが分かり、電子線ホログラフィーの表面研究における有効性を明らかにした。また、ホログラム作成時の焦点外れ量がわからなくとも電子レンズの収差を補正することが出来る新しいアルゴリズムを開発し、Si(111)表面の7×7構造について応用した。
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