研究課題/領域番号 |
63612503
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 陽一 東北大学, 理学部, 助教授 (30004500)
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研究分担者 |
伊藤 翼 東北大学, 理学部, 教授 (90007328)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1988年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 高分子錯体 / 三角形型三核錯体 / サイクリックボルタンメトリー / 配位子置換反応 / 混合金属錯体 / ルテニウム錯体 / カルボン酸錯体 / 位置選択的反応 |
研究概要 |
本研究は、酸化物イオン(O^<2->)とカルボン酸イオンで橋かけした複核および三核錯体をピリジンなどの架橋配位子で連結したオリゴマー、高分子を合成することを最終目標とするが、そのための基礎的知見を得る目的で本年度は材料としての複核、三核錯体の基礎的諸性質を明らかにしてきた。1.新錯体の合成。構造的に最も基礎となるRu複核錯体、[Ru_2(O)(CH_3COO)_2(pyridine)_6]^<2+>、の合成に成功し、さらにこれにCrが付加した形のRu-Cr混合金属三核錯体をあらたに合成した。2.酸化還元反応性。上の2種の錯体の他、Ru三核錯体、Ru_2Rh型混合金属錯体のサイクリックボルタモグラムを測定し、Ru_2ユニットに特有な三段階一電子酸化還元過程の存在を示した。また、橋かけのカルボン酸イオンなどが異なる17種の一連のFe三核錯体について、その第一、第二一電子還元電位がそれぞれカルボン酸イオンのpKaとの間に良好な直線関係を示すことを明らかにした。3.電子状態。Ruを含む一連の複核、三核錯体はいずれも500-700nmの領域に強い吸収帯(ε>10^3M^<-1>cm^<-1>)を示すが、この遷移がRuとO^<2->との間のπ相互作用にもとづいて生ずるものであることを明らかにした。4.配位子置換反応。三角形型錯体の各金属イオンに配位した水分子をエタノールで置換する反応を、^1H-NMRを用いて詳細に速度論的に調べた。Ru、Rh三核錯体の置換反応速度は、それぞれの金属イオンの単核錯体に比べ、数桁も大きい。Ru_2Rh型混合金属錯体では、Rh_3、Ru_3錯体より一桁程置換速度は遅いが、2つの異なる金属上での置換速度の差は小さい。一方、Mo-W混合三核錯体では、Mo側の置換速度が数桁大きく顕著な位置選択性がみられた。以上述べた成果により複核、三核ユニットを連結した新しい型のオリゴマーないし高分子錯体には、反応性や電子状態などに多くの新しい特性が期待できることがわかった。現在その方向へ向けて研究を展開しはじめている。
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