研究課題/領域番号 |
63612504
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山岸 晧彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (70001865)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1988年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 高分子金属錯体 / 粘土鉱物 / ストップドフロー / 電気二色性 |
研究概要 |
本研究は、電気二色性を検出方法としたストップフロー測定装置を用いて光学活性金属錯体の粘土鉱物への吸着機構を明らかにしようとしたものである。そのため、現有の設備のうち、検出の波長領域を紫外部にまでのばすこと、ケイ光の測定も同時に行えるようにすることの2点を改定した。まず、金属錯体の吸着機構を本方法によって調べるために光学活性なルテニウムトリスフェナントロリン(II)錯体(以下Ru錯体)のコロイド状に分散したモンモリロナイト(以下単に粘土)への吸着反応をとりあげた。その結果、吸着に際してのRu錯体の吸収スペクトルの変化と、電気二色性の強度および緩和時間の変化を、吸着石後10〜1000ミリ秒の間で追跡することができた。この2つの変化を解析することにより、この錯体の吸着は以下の2つの段階を経て起ることがわかった。(1)Ru錯体が粘土粒子にイオン交換によって吸着する(0〜50ミリ秒)。(2)このような粘土と錯体のついた付加物が、会合して大きな層構造を持つ会合体を形成する(50〜1000ミリ秒)。このような2段階反応が進行することは、本方法により、吸着量の時間経過とその他の変化とが明確に区別されることから結論された。次にRu錯体として、光学活性体とラセミ混合物とを用いた場合の違いについて調べた。その結果。上と同様な検出方法を用いることにより、ラセミ混合物の吸着について特に以下のことが明らかにされた。先に述べた2段階の内で最初の段階について、光学活性体では迅速なイオン交換による吸着が起こるのに対して、ラセミ混合物では迅速なイオン交換による吸着ののちに、さらに、分子間力によるゆっくりした吸着が50-200ミリ秒位の間に起こり、そののち、会合過程が起こる。このようなラセミ混合物に特有の吸着は、粘土の表面において、立体選択的な相互作用がRu錯体分子の間で働いていることを意味しており、今後はケイ光の測定等を組み合わせてさらに調べていきたい。
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