本年度においては、飛行機の翼、胴体、随伴渦を渦格子で表すとともに随伴渦格子の非定常形を考慮した計算を行うことを目的とし、次のような結果をえることができた。 1.基礎的な問題として胴体を伴わない3次元薄翼のみが自由流中を6自由度運動を行う場合について、翼を渦格子で、翼後縁からKutta条件によって放出される渦層と、翼端や及び細長翼においては翼前縁から放出される剥離渦層を自由渦格子で近似する問題について検討した。このモデルでは翼面を近似する渦の強さ、翼から放出される渦の強さ、自由渦系の位置は翼の運動の関数として時間に関して離散的に算出される。 2.放出される自由渦は1枚の2次元的な渦格子で表現したが、渦の巻き込みが生じて渦格子が自分自信を突き抜けるような複雑な変形を行う場合でも、特に問題なく流れを表現できた。 3.Kutta条件が正しく近似されるよう放出渦の強さと放出アルゴリズムを定めることが特に重要であること、また翼端やや翼前縁からの剥離渦の場合には後縁放出渦とは異なった放出アルゴリズムを用いる必要があることが明らかとなった。 4.予備的計算の結果では、特に翼端や前縁からの剥離が重要である場合において翼面渦格子の密度や時間刻みの大きさが解の定量性に大きな影響を与えらることが予想され、3項に述べた点の改良とともに来年度における重要な研究課題となるであろう。
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