研究課題/領域番号 |
63614508
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小幡 陽 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30030852)
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研究分担者 |
山下 克子 神戸大学, 医学部, 助教授 (70030905)
古川 清 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10190133)
遠藤 玉夫 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30168827)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1988年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
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キーワード | Glycoprotein / Choriocarcinoma / Hepatoma / hCG / Transferrin / CEA / Asparagine-linked / sugar / chain |
研究概要 |
1.ヒト肝臓ならびに肝癌から精製したγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)の糖鎖構造を比較分析した結果、ラットの場合と異なりヒト肝癌の酵素にはbisecting GlacNAをもつものが検出されず、高マンノース型糖鎖とC-2、4に側鎖をもつ異常2本鎖の出現、3本鎖や4本鎖の比率の顕著な増大が癌性変化の主なものであることが判明した。この知見をもとに肝臓で産出され、2本鎖複合型糖鎖のみを持つトランスフェリン(Tf)を4例の肝癌患者及び2例の健常人の血清から精製し、その糖鎖を比較分析してみた。各Tfの含む糖鎖の数はいずれも2本であったが、健常人Tfではいずれも糖鎖の96〜7%で根本にフコースを持たない2本鎖複合型であるのに対し、肝癌の場合にはこの糖鎖の比率が顕著に減少し、代ってフコースを根本に持つ2本鎖、様々な側鎖を持った3、4本鎖が出現していた。現在この知見をもとに癌性糖鎖を持ったTfの特異的検出法の開発を進めている。2.異常2本鎖複合型糖鎖はさきに絨毛癌の産出するhCGにヒトの糖タンパク質糖鎖としては始めて見出されたものであるが、今年度の研究ヒト肝癌のγ-GTPにも出現していることが判明した。以上の知見から同糖鎖が広く癌の診断に使え、又癌の免疫療法にも応用出来る可能性が強まったので、同糖鎖の非還元末端部分を含む5糖を合成し、これをメチル化BSAと結合させた人工糖タンパク質を抗原にして3種の単クローン抗体を作成した。このうちC_2-100と名づけた抗体は異常2本鎖と反応する特異性が高いことが判明したので、現在その反応スペクトラムを更に詳しく調べると共に、その応用研究を進めているる3.遺伝子組み換え技術で作り出された糖タンパク質を検体として、ヒト肺癌細胞C127にこれまで旧世代のサルとヒトには存在しないとされていたGalα1→3Gal残基を作り出す能力があることを発見した。これは糖鎖の癌性変化の新しい機構を示す知見である。
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