研究課題/領域番号 |
63614528
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
菊地 浩吉 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00045345)
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研究分担者 |
今 信一郎 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10195886)
今村 正克 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (30045398)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1988年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | 癌特異的キラーT細胞クローン / 乳癌特異的抗原 / キラーT細胞標的抗原 / T細胞遊走因子 / 受動癌免疫療法 |
研究概要 |
癌増殖局所における湿潤細胞と、産生される各種サイトカインの動態、および両者の相互作用を明かにし、癌の免疫学的破壊機序を解明しようとした。 1.ヒト自家癌局所より、キラーT細胞クローンと標的自家癌(乳癌)細胞株の確立に成功した。キラーT細胞による自家癌の破壊は、抗CD3抗体によりブロックされ、HLAクラスI拘束性であった。 2.癌細胞抗原を認識し、キラーT細胞クローンによる自家癌細胞破壊をブロックするモノクローナル抗体3A2を確立した。この抗体はNK活性、AK活性をブロックしない。 3.3A2が認識する癌抗原は92kdで、原乳癌組織と反応するばかりでなく、10例中5例の同種癌細胞にも反応した。非癌部乳腺組織には全く発癌されない。他の同種癌では前立腺癌の10%のみが陽性で他は全く陰性であった。 4.肺癌患者の自家T細胞(クローン化してない)による受動免疫療法を試みた。7例の胸腔内注入で全例に癌細胞の胸水内消失、胸水減少が観察されたが、全身投与では効果が少なかった。 5.癌組織への細胞浸潤を規制するリンパ球遊走因子(LMF)について研究した。LMFaは免疫動物に腫瘍移植後12時間で好中球から産生される30Kdと70Kdの物質でCD4^+T細胞を特異的にひき寄せる。LMFbは4-6日目にCD4^+T細胞が産生する26Kd、pI-8.0の物質でCD8^+T細胞をひき寄せる。 6.LMFbはより集まったCD8^+T細胞は腫瘍細胞破壊能がある。LMFbを腹膣内に投与するとCD8^+T細胞が選択的に浸潤することが観された。 以上の成績は自己の癌に対するキラーT細胞が3A2という抗原を標的として癌細胞を破壊することを示し、受動特異的癌免疫療法の可能性を示唆する。この癌組織内浸潤は遊走因子により規定されることを示す。
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