研究課題/領域番号 |
63614531
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
山本 慧 慶応義塾大学, 医学部, 助教授 (50138129)
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研究分担者 |
清藤 乙美 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (20171689)
中館 映夫 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (60112695)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1988年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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キーワード | 発癌プロモーター / ホルボールエステル / C-キナーゼ / ク-ブロモメチルベンツアントラセン / 炎症 / オルニチン脱炭酸酵素 / リポキシゲナーゼ阻害薬 / PGE_2 |
研究概要 |
C-キナーゼ活性化作用を持たないで強い発癌プロモーション作用を有する7-bromrmethylbenz(a)anthracene(BrMBA)によるマウス表皮オルニチン脱炭酸酵素(ODC)の誘導は、C-キナーゼ活性化作用を有するプロモーターであるTPAによる誘導の場合同様、各種リポキシゲナーゼ阻害薬(NDGA、ケルセチン、テトラヒドロキシカルコン、AA861)により強く抑制された。BrMBAはジメチルベンツアントラセンでイニシエートしたマウス皮膚において強力なプロモーション作用を発揮し腫瘍の形成を誘発したが、それはリポキシゲナーゼ阻害薬により強く抑制された。一方スーパーオキサイドジスムターゼ様作用を有するフタル酸モノブチル銅はTPAやBrMBAによるODC誘導やTPAによる発癌プロモーションは抑制したが、BrMBAによる発癌プロモーションは抑制せず、その抑制作用に解離が見られた。次にマウス耳介における浮腫形成を指標にBrMBAの炎症誘発作用を検討したところ、TPAの場合とはことなり炎症誘発作用を認めなかった。BrMBAは発癌のターゲットである表皮細胞においてTPA同様EGFの受容体への結合を抑制したが、TPAとは異なり同細胞でのPGE_2の生成は促進しなかった。またBrMBAはマクロファージにおいてもTPAとは異なりPGE_2の生成を促進せず、更に多核白血球における活性酸素(・O^-_2)の生成も促進しなかった。以上の結果はBrMBAによる発癌プロモーションにもリポキシゲナーゼ系が何らかの関与をしている可能性を示していると共に、リポキシゲナーゼ阻害薬の抗発癌プロモーション薬としての有用性を示唆しているものと考えられる。また今回の実験結果は、炎症反応が発癌プロモーションにかならずしも本質的に重要でないことを示しており興味深い。更にマクロファージにおけるPGE_2生成促進もプロモーターの作用として本質的ではないことが明らかとなった。
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