研究課題/領域番号 |
63615515
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
嶋本 伸雄 国立遺伝学研究所, 遺伝情報研究センター, 助教授 (20127658)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1988年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 翻訳調節 / SSB / レギュロン / DNA複製と翻訳の共役 / 協同的結合 |
研究概要 |
能率的な細胞複製のためには、DNA複製、転写、翻訳の間にお互いを調節する機構が存在するはずであるが、まだ見いだされていない。この研究の目的は、大腸菌一本鎖DNA結合蛋白質(SSB)が、一群の遺伝子の翻訳をDNA複製の状態を反映しながら調節していることを明らかにして、このような系間調節の最初の例を証明することである。 本年度までに明らかになったことは、SSBはssbのmRNAに特異的かつ協同的に結合して蛋白クラスターを形成し、その無細胞翻訳系での翻訳を阻害する。このような結合には、特定の12塩基のRNA配列、SSB boxがコーディング領域の外の、リボソームの影響を受けにくい位置にあることが必要である。 このような結合は、その濃度依存性とSSBの細胞内濃度から、細胞内でも起こっていると推定される。事実、ssbのmRNAとSSBの量的関係を変化させると、数種類の蛋白の量が、SSBによる翻訳阻害と解釈できる変化をする。これらのことは、SSB翻訳レギュロンの存在と、遊離のSSB量が調節されていることを示唆する。 そこで、プラスミド上でssb遺伝子を改変して、細胞の増殖への影響を見た。SSB boxを保ったままlacオペロンとのオペロン融合をして、上流のlacオペロンを誘導しても細胞の増殖には関係しない。また、SSB boxを削除した蛋白質融合でも、フレームがSSB蛋白と異なるものでは、増殖が少し阻害されるのみである。SSB boxを削除してフレームをSSBと一致させた蛋白融合では、増殖が甚だしく阻害される。つまり、SSB boxなしのSSBは蛋白の量産が致死的であることを示す。 以前に明らかになった、SSB boxのみの量産は致死的であることを併せて考えると、細胞内で遊離状態のSSBの濃度が一定に保たれていることを示唆している。
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