研究課題/領域番号 |
63616506
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 渥夫 京都大学, 工学部, 教授 (80026088)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 炭化水素生育酵母Candida tropicalis pK233 / ペルオキシゾーム / 脂肪酸のβ-酸化系 / 多段階複合共役反応系 / 3-ケトアシル-CoAチオラーゼ / アセトアセチル-CoA / 細胞分画 |
研究概要 |
我々の発見した炭化水素生育酵母Candida tropicalis pK233内に多数出現する細胞内小器官ペルオキシゾーム(Ps)には、アルカンに由来する脂肪酸を分解・利用する酵素群が誘導局在化している。なかでも、脂肪酸の活性化とβ-酸化の一連の複合共役酵素系のPs内局在性は、Psが脂肪酸代謝系のモデルとして、また従来の精製酵素を用いた一段階反応からは期待できないような反応の望める多段階複合共役反応系のモデルとしての有用性を顕示するものである。 今年度は、脂肪酸β-酸化共役系において最終段階を司る酵素である3-ケトアシル-CoAチオラーゼ(KCT)を精製してその諸性質を調べ、共役系における本酵素の機能と役割を明らかにすることにした。 炭化水素生育C.tropicalisから細胞分画でペルオキシゾームを含む画分を得、これを低張破砕したものを粗酵素試料として精製を行ったところ、基質特異性を異にする少なくとも2種類のKCTがそんざいすることが判明した。一つはアセトアセチル-CoAに特異的なKCTで、もう一つは長鎖の基質にも幅広い活性をもつKCTであった。前者をチオラーゼI、後者をチオラーゼIIIと呼び、さらにその諸性質を詳細に検討した。チオラーゼIの分子量は240KDaで、41KDaのサブユニットからなる6量体であったが、チオラーゼIIIの分子量は98KDaで、43KDaのサブユニットからなる2量体であった。チオラーゼIIIに対する抗血清を調製し、免疫化学的性質を比較したところIとIIIは免疫交差をせず、またS.aureus V8プロテアーゼやトリプシンでのペプチドマップも異なっており、両者は分子レベルでも異なることが明らかになった。さらに、チオラーゼIは非誘導型酵素であったが、チオラーゼIIIは誘導型酵素であったことから合成調節レベルでも異なった酵素であることが示唆され、また、Ps内での脂肪酸の完全分解にはこれら両酵素の協同作用が必要であると考えられた。
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