研究課題/領域番号 |
63618508
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森田 隆 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (70150349)
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研究分担者 |
野崎 正美 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30189394)
松代 愛三 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00029753)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | マウスT / t変異 / マウス第17染色体 / 野生マウス / 胚発生異常 / Tcp-1遺伝子 / 偽遺伝子 / 進化的起源 |
研究概要 |
マウスt変異は第17染色体上のH-2複合体を含む2ヶ所の逆位によりもので、ホモで発生異常を示すと同時に、その精子による伝達率が90%以上と高く、野生にも比較的広く分布することが知られている。このt変異にはいくつかのタイプがあり、それぞれ致死となる発生段階が異なっている。t^<w32>変異では胚発生初期におけるサイトケラチン、endoA、endoBの合成が抑制されることが知られている。このような種々のも変異がどのようにして起こったかその進化的起源を知るために、我々はt変異領域にマップされているTcp^<-1>遺伝子の塩基配列を比較し検討した。その結果、次のことが明らかになった。 1.正常マウスとt^<w32>変異マウスの間ではTcp^<-1>遺伝子に関して97%のホモロジーが認められ、正常とt変異マウスの分岐が比較的最近(数百万年前)起こったものであることが示唆された。 2.正常マウスにもt変異マウスにもTcp^<-1>遺伝子の他に、プロセスされた偽遺伝が存在することがわかった。この偽遺伝子についてはサザンブロット解析によりTcp^<-1>遺伝子のあるt変異領域には連鎖していないと考えられた。 3.Tcp^<-1>偽遺伝子の塩基配列はTcp^<-1>遺伝子とのホモロジーが低く(約74%)、その進化速度が速いと考えても、正常とt変異マウスの分岐以前に起こったと考えられる。さらにこの偽遺伝子の塩基配列はt変異由来Tcp^<-1>遺伝子より正常マウス由来のTcp^<-1>に近く、正常マウス集団からt変異が起こったと考えられる。t変異由来Tcp^<-1>遺伝子の方がより古いという説もあり、これと対立する結果となった。 今後、t^<w73>変異のTcp^<-1>遺伝子の塩基配列やマウス以外の種についても比較を行い、t変異の起源を検討したい。
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