研究課題/領域番号 |
63619001
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
勝木 元也 東海大学, 医学部, 教授 (20051732)
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研究分担者 |
木村 穣 東海大学, 医学部, 助手 (10146706)
前田 秀一郎 熊本大学, 医学部, 助教授 (10117244)
大久保 博晶 京都大学, 医学部付属免疫学研究所, 助教授 (20094089)
近藤 寿人 名古屋大学, 理学部, 教授 (70127083)
山村 研一 熊本大学, 医学部付属遺伝医学研究所, 教授 (90115197)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
33,000千円 (直接経費: 33,000千円)
1988年度: 33,000千円 (直接経費: 33,000千円)
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キーワード | トランスジェニックマウス / ヒト疾患モデル / アンチセンスDNA / アンチセンスRNA / 挿入突然変異 / 実験動物 / アミロイド沈着 / ミエリン塩基性タンパク質 |
研究概要 |
生物学の研究にとって突然変異体の分離は最も有効な研究手段の一つである。偶然の好運によって、また人為的な選択によって多くの突然変異が得られてきたが、マウスのような哺乳動物ではなかなか困難であった。最新のバイオテクノロジーの一つである遺伝子工学と発生工学とを駆使して遺伝子導入法によって目的の生物機能を発現するトランスジェニックマウスを作る方法が確立してきた。 本研究では、今年度2つの大きな発展と成果があがった。第1は、特定遺伝子機能をアンチセンスDNAを導入することによって個体レベルで抑制することに成功した例である。中枢神経系のミエリン形成に必須のタンパク質であるミエリン塩基性タンパク質(MBP)のcDNAをアンチセンス方向に発現するように構築したベクターを正常マウス受精卵に導入し、トランスジェニックマウスを作成したところ、MBPの産生が抑制され、ミエリン形成が不全となり、その結果MBP遺伝子欠失の突然変異であるシバラーマウスと相同の企図振戦が認められた。この結果は、アンチセンスRNAの発現によって特定遺伝子の個体での発現を抑制した最初の例となった。第2は、多くの優性に働く遺伝子導入マウスが作成され、ヒト疾患のモデルとなるか否かが検討された点である。家族性アミロイドポリニューロパシー、血圧調節系の遺伝子レニンおよびアンジオテンシノーゲン、ヒトインターロイキン2などの遺伝子導入マウスでは、アミロイドの沈着に関する新しい知見や血圧の上昇、またインターロイキン2では小脳特有の傷害などが認められ、ヒト疾患モデルとして検討が続けられた。 さらに多くの挿入突然変異マウスが得られ、生物学に大きく寄与する新しいタイプの実験動物が次々に作り出されたといえる。今後益々研究を進展し、ヒト疾患モデルの作成を行なう予定である。
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