研究概要 |
種子貯蔵蛋白質合成系の織特異的発現機構を明らかにする目的で、その合成系に関与する3種の蛋白質成分-second,processing enzyme,proglobulin receptor,プロテインボディ膜蛋白質を取り上げ、それらの機能及び生合成機構を解析し、以下の知見を得た。 1.second processing enzyme:前年度の研究から、second processing enzymeはthiolプロテアーゼであり、液胞内に局在することが判明している。今年度はsecond processingに対するイオノフォアmonensinの影響を解析した。登熟カボチャ子葉をmonensin処理すると、proglobulinのsecond processingが阻害されるが、monensinが直接この酵素を阻害するのではなく、monensinが液胞内のpHをあげることによって、second processingを阻害していることが示された。 2.proglobulin receptor:登熟カボチャ子葉のroughER画分に、proglobulinと特異的に結合する成分を検出した。この結合は、proglobulinに特異的であり、成熟型のglobulinとは結合しない。貯蔵蛋白質を蓄積するプロテインボディは、動物細胞のlysosomeに類似したオルガネラであるが、lysosomeのtangetting signalであるmannose-6 phosphateは、この結合には影響しない。このことから、貯蔵蛋白質のプロテインボディへのtargettingにmannose-6 phosphateは関与していないことが示唆された。 3.プロテインボディ膜蛋白質:プロテインボディを構成する主要膜蛋白質80kD proteinを精製し、その特異抗体を用いて、その細胞内輸送機構を解析した。この80kD proteinもroughER上で、pre-pro型として合成され、2度のprocessingを受けて、成熟型に変換すること、11S globulinと同様に、種子の登熟に伴って蓄積し、種子の発芽とともに減少していくことが判明した。
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