研究課題/領域番号 |
63624507
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 隆之 名古屋大学, 医学部, 講師 (10111840)
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研究分担者 |
奥村 健二 名古屋大学, 医学部, 医員
橋本 秀和 名古屋大学, 医学部, 助手 (50172870)
小川 宏一 名古屋大学, 医学部, 非常勤講師
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1988年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | カテコールアミン心筋症 / 1、2-ジアシルグリセロール / ノルエピネフリン / フェトラミン |
研究概要 |
カテコールアミン心筋症の形成メカニズムを詳細に検討するため、細胞内情報伝達物質の一つである1、2-ジアシルグリセロール(DG)の測定を確立し、カテコールアミンによるこの物質の動態を観察した。ラットにノルエピネフリン(NE)2mg/kg投与し、1、2-DGの心筋内の変動を経時的に観察し、その変動に対し、α、β遮断剤の影響をみた。 脂質の各成分はTLC/FID法によった。中性脂質はあらかじめケイ酸カラムでリン脂質と分離して測定した。NEの腹腔内投与は、心重量、体重ともに観察した60分まで変化がみられなかった。心筋内の1、2-DG量は生食水のみを投与した対照群で72.5±5.4ng/mg wet wt(Mea n±SE)であり、Ne投与により10分後には38%の増加、60分後には129.8±9.1ng/mg wet wtと更に増加し80%の上昇となった。これに対し、コレステロールや各リン脂質分画はNE投与60分後まで有意な変化を見なかった。このNE投与による1、2-DGの上昇の機序を解明するため、各種のα、β遮断薬を前投与した。NE投与40分後の心筋内1、2-DG量は107.6±10.5ng/mg wet wtと投与しない群に比べ49%上昇していたがphentolamineによりこの上昇は有意に抑制された。Prazosinも同様に1、2-DGの上昇を抑制した(0.1mg/kgでは76.5±4.4、1mg/kgでは56.2±2.8ng/mg wet wt)。しかも高濃度のPrazosinはより強い抑制作用を示し、刺激していない対照群より低い値を示した。こに対しYohimbineでは充分な1、2-DG上昇の抑制効果が得られず(88.2±6.8ng/mg wet wt)、またPropranololによってはほとんど影響かみられなかった(113.2±8.4ng/mg wet wt)。一方、コレステロール含有量はこれらの薬物の前処理に対しても有意な変動を示さなかった。以上よりα受容体、特にα_1受容体を介する1、2-DGの増加作用が心筋においてinvivoで証明されたと考える。
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