研究概要 |
国体中で高度に立体選択的な反応を行なう種々の系について、反応系の設計、新規化合物の合成、結晶化、結晶構造解析、国相反応性の検討及びその解析を行い、以下の成果を上げることが出来た。1)種々の芳香族ジアセチレン化合物を合成し、γ線固相重合を行うと共に、その結晶構造解析を行った。その結果、重合に関与するアセチレン結合の分子間距離と固相反応性の間に相関が見出された。2)多くの非対称ジオレフィン化合物結晶は、結晶格子支配による〔2+2〕光付加環化反応によって、主鎖にシクロブタン環を有するダイマー及びポリマーを与える。その内C_5H_4N-CH=CH-C_6H_4-CH=C(CN)(COOR) (R=Me,Et,n-Pr)は、そのアルコキシル基や再結晶溶媒の違い、あるいはそれらの混晶化によって多様な反応挙動を示すことを見出した。そこでこれらの結晶構造解析を行ない、結晶格子中の分子配列と光反応性の相関を詳細に検討した。3)原子価拡張性の有機硫黄化合物が有する短かい分子内非結合距離S……X(X=S,N,O,ハロゲン)を結晶構造に基づいて系統的に研究した。更に1.5ジチオニアビシクロ〔3,3,0〕オクタン・2CF_3SO_3塩及びチオフェン環で修飾したTCNQ誘導体及びそのTTF錯体の結晶構造解析を行い、同様のS……X相互作用について新しい知見を得た。4)疏水部にアゾベンゼン発色団を持つ一本鎖型両親媒性化合物CH_3-(CH_2)n-1-O-C_6H_4-N=N-C_2H_4-O(CH_2)m-N(CH_3)_2-CH_2CH_2OH・Br^-のティル長(n=6,8,10,12)とスペーサー長(m=3〜6,8,10)を系統的に変化させた化合物を合成し、化学構造の違いが二分子膜構造にどの様に反映するかを検討した。一般に両親媒性脂質分子の単結晶作成は困難であるが、m=5のJ会合をとる化合物の一連の構造解析から、nが変化しても分子構造、結晶構造の違いは小さく、アゾ基平面はベンゼンとほぼ同一平面でJ会合し、一方Hー会合する(n=8,m=10)の化合物ではフィルムの解析から提案していた入れ子構造をとることが見出された。
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