研究課題/領域番号 |
63628509
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮田 幹二 大阪大学, 工学部, 助手 (90029322)
|
研究分担者 |
三木 邦夫 大阪大学, 工学部, 助手 (10116105)
|
研究期間 (年度) |
1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
800千円 (直接経費: 800千円)
1988年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 包接化合物 / コール酸 / 結晶構造解析 / チャンネル型包接 / 分子認識 / 光学分割 / キラル認識 / 不斉誘導反応 |
研究概要 |
胆汁酸ステロイドの一つであるコール酸が種々の有機物と包接化合物を形成し得ることを我々は既に公表している。この研究をさらに進めてこの包接体の構造と分子認識能を調べた。また、このコール酸と構造の非常によく似ているデオキシコール酸の両者の分子集合様式の比較論を展開することを試みた。以下に本年度の研究実績を具体的に述べる。 1.コール酸とアセトフェノンとの包接体のX線構造解析を行ったところ、チャンネル型構造であることがわかった。ホストのステロイド分子は頭、尾・尾で会合し、デオキシコール酸の頭・尾会合と対照的であった。この会合様式の違いのため、チャンネルのサイドポケットの形・大きさが異なる。コール酸のそれはより大きいと言える。この空間は分子認識に大きな役割を果していると推察できる。 2.コール酸はラクトン類のキラル認識を非常に高度に行うことがわかった。r-バレロラクトンやrあるいはδ-ヘキサラクトンの完全光学分割が可能であった。これは、上記のチャンネルのサイドポケットのキラル空間にラクトンの(S)体が選択的に取り込まれるためと考えられる。一方、デオキシコール酸では、ほとんど光学分割を行うことができず、対照的であった。従って両方の空間の精密な解析と比較検討を行うとキラル認識の機構について貴重な情報が得られると期待できる。 3.両方のチャンネル内で、主に重合反応を検討した。デオキシコール酸の場合、一次元性の高い反応が極めて効率よくおこり、高度な不斉誘導も可能であった。プロキラルジエンモノマーから、種々の光学活性高分子が合成された。活性種の生長ラジカルは、包接下で極めて長寿命であった。そのため溶液では観測できない成長ラジカルをESRで容易に観測することが可能となった。一方、コール酸ではチャンネルが大きいため、同様な反応はおこらず、別な反応を探索する必要がある。
|