研究課題/領域番号 |
63631508
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
滝田 宏樹 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (00011213)
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研究分担者 |
村上 浩一 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (10116113)
升田 公三 筑波大学, 物質工学系, 教授 (90029405)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1988年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | Ln-Ba-Cu-O系超伝導体 / ホール濃度と超伝導 / ホール係数 / 超伝導発現機構 / ホール濃度補償効果 |
研究概要 |
我々は、まず、LnがLa,Nd,Sm及びEuと、比較的イオン半径の大きなランタン系列元素の場合には、Ln_<1+x>Ba_<2-x>Cu_3O_<7-8>という組成の固容体が単一相として合成できることを見いだした。この系についての研究から、超伝導移転温度Tcは、ホール濃度によって一意的に決っているというモデルを提案し、上記の全ての系について、10Tマグネットを用いてホール係数R_Hの実測を行い、Tcと有効ホール濃度Ph(Ph=1/R_H)の関係を実験的に決めるとともに、科学分析法により、酸素含有量についても調べた。 その結果、Xが増加するにつれて、酸素含有量も増加するが、それにもかかわらず、Phは、Xとともに単純なホール濃度補償モデルとほぼ同じ割合で減少すること、また、TcとPhの関係は1-2-3組成において酸素含有量を変えた場合ともほぼ一致することを明らかにした。また化学分析による平均ホール濃度3PとPhは一致せず3P>Phであるが、3Pの一部Pcがchain層にトラップされており、2次元sheet層のホール2P_s(=3P-Pc)のみが伝導に効いているという考えをとれば、Tcが90K付近の試料を除いて、2P_s【〜=】Phとなることを示した。これは、十倉らにより別の系における実験から提案された考えとも良く一致しており、YBa_2Cu_3O_<7-8>関連の構造(Y系と呼ぶ)を持つ系では、2次元sheet層のホール濃度がホール係数を決めるとともに超伝導特性を支配していると考えることができることを示している。 以上のように本研究では、酸化物超伝導体のうち、ホール濃度を決めるパラメーターが他の系に較べ複雑なY系について、超伝導とホール濃度の関係を定量的に明らかにすることに成功した。これは、超伝導発現機構解明の有力な手がかりとなりうると共に新物質探索の手がかりともなりうる成果である。
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