研究課題/領域番号 |
63631511
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石田 洋一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60013108)
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研究分担者 |
市野瀬 英喜 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (30159842)
森 実 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30134646)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 超伝導酸化物 / 結晶粒界 / 高分解能電子顕微鏡 / イットリウム系超伝導体 / ビスマス系超伝導体 / 焼結体試料 / 変調構造 / 超伝導臨界電流 |
研究概要 |
酸化物超伝導材料の実用化に対して結晶粒界その他の内部界面は否定的意味で重要な課題となっている。臨界電流Jcが焼結体で10^4A/cm^2以下、単結晶体の1/100以下という小さな値しか示さないのは結晶粒界が障害となっているためと考えられるからである。実際、双結晶試料による測定はJcが結晶粒界の種類により大幅に変わることを示した。高分解能電子顕微鏡観察を主な武器とする本研究はこのような粒界構造の影響を明らかにし、Jcの壁を取り除く方策を探ることにある。 解析したイットリウム系およびビスマス系超伝導酸化物焼結体中の結晶粒界は、いずれも原子配列の乱れが数原子層に限定され、セラミックスとしては比較的薄い。これは焼結助剤を使用していないからである。結晶粒界はその多くが片方の結晶の底面に平行で平面性の著しい界面となっている。これは層状構造をもつ結晶の粒界に特有な現象と云える。ビスマス系では特にこの傾向が著しく、結合が弱いとされるビスマス層がこの界面となり易い。界面方向がこれ以外の方向のときでも、[010]軸方向に生ずる変調構造が稠密に並ぶ面が粒界面として選ばれて、結晶粒界がビスマス濃化帯を包絡している。微視的に粒界面をビスマス層としている。この傾向は[001]軸を回転軸とするねじり粒界では顕著にあらわれ、ビスマス層が粒界面となっている。ビスマス層は絶縁体的性質を持っているとされており、[001]軸方向のクーパー対のコヒーレンス長さが短いということもあって超伝導の障害となっている可能性が強い。焼結試料のJcが単結晶のそれより著しく低いのはこのような結晶粒界の伝導性の低さが原因であると考察された。
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