研究概要 |
本研究は、超伝導の出現機構をさぐるために必要な超伝導物質の合成方法、特に単結晶試料の育成を行うことを目的としている。これを進めるには、組成構造を制御した粉末、セラミック試料の合成も当然必要である。研究対象とした物質はY-Ba-Cu-O系、Bi-Sr-Ca-Cu-O系及びLu-Cu-O系である。 (1)YBa_2Cu_3O_7単結晶 Cu-0系フラックスを用いて、2×2×0.5mm程度の単結晶を育成した。ここで用いた方法の特徴は結晶育成後フラックスと容易に分離するものである。得られた結晶は単結晶構造解析、電気的性質、水、塩酸溶液に対する化学的耐久性などを検討した。 (2)Bi_2(Sr,Ca)_3Cu_2Ox単結晶 同様フラックス法により合成し、超伝導性などを検討した。 (3)Bi_2Sr_2CuOx相 単結晶の育成に先立ち、この純相の合成条件を検討し、770〜780℃力焼、800度1h焼成により純相を得て、Tc(on)=12K、Tc(e)=9Kであることが確認された。なお、焼成温度や時間が長くなると、不明相である半導体相の比率が増大する。 (4)Ln_2CuO_4系(Ln=Gd,Pr,Nd,La) 特にLa_2CuO_4相(T)(Nd,Sr,Ce)_2CuO_4相(T^☆)、Nd┣D22CuO┣D24┫D2(T┣D11)相の出現について種々検討し、各々純相状態が得られた。 以上を基礎として、高圧下のフラックス法による結晶育成に関する予備的な研究を行った。
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