研究課題/領域番号 |
63636505
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
斉藤 昌之 愛媛大学, 医学部, 助教授 (80036441)
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研究分担者 |
嶋津 孝 愛媛大学, 医学部, 教授 (30090400)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1988年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 褐色脂肪組織 / 交感神経 / エネルギー出納 |
研究概要 |
交感神経は、肝グリコーゲンや白色脂肪組織の中性脂肪などのエネルギー基質の動員や、褐色脂肪組織(BAT)での化学的熱産生の制御に中心的な役割を果している。本研究では、エネルギー代謝の食餌性調節の機構を明らかにする研究の一環として、食餌摂取の量的、質的変化に対応して、BATの代謝活性を交感神経活性がどのように変動するのかをラットで調べ、以下の知見を得た。1.BATの糖代謝活性を子供invivoでの組織への^<14>C-2-デオキシグルコース(2-DG)のとりこみ量として測定した。2-DGのとりこみは寒冷暴露で著増しBAT熱産生の良い指標であることを確かめた。更にこの寒冷応答は、BATへの交感神経を予め外科切除しておくと消失したので、BAT代謝機能が交感神経の支配下にあることも明らかとなった。ラットを絶食させると2-DGのとりこみは低値であったが、食餌摂取の伴い約15倍に増加した。しかし同量の食餌を胃チューブを用いて非経口的に摂らせると、血中インシュリンレベルはほぼ同じであるのに増加は10倍に止まった。摂取法による差は除神経組織では認められず、いずれも約10倍の増加であった。これらの成績は、食餌摂取により交感神経を介してBAT熱産生の亢進がおこることを示しており、その際口腔咽頭部での感覚受容が重要であることを示している。2.前述の結論を確かめるために、BATでの交感神経活性をノルエピネフリン(NE)の代謝回転速度(NE合成阻害剤投与後の組織NE含有量除減少程度から算出)より調べた。絶食時のNE代謝回転は低値であったが、摂食により約2倍に増加した。しかし非常経口摂食では絶食時とほとんど変化しなかった。以上の結果より、交感神経-BATによるエネルギー消費は、エネルギー摂取の量的変化を口腔咽頭部で受容しながら適応的に変動し、エネルギーの収支の乱れを最小限にくいとめる仕組みであると結論した。
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