研究課題/領域番号 |
63640505
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
北川 泰雄 名古屋大学, 農学部, 助手 (50101168)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 初期胚 / 胎児性癌細胞 / 発生 / マウス / 内胚葉 / レチノイン酸 / プラスミノーゲン・アクティベーター / ラミニン / α-フェトプロテイン |
研究概要 |
着床前後のマウス初期胚形成を制御している素子を発見することを目的に、モデル系である胎児性癌細胞F9の培養条件を操作して初期胚で出現する3種の内胚葉様細胞の分化要因を解析した。F9幹細胞をレチノイン酸(RA)で処理すると、3、5-、4日目胚の内部細胞塊表面で分化する始原内胚葉と同様の細胞が誘導される。我々はラミニンやプラスミノーゲン・アクティベーター分泌で評価したF9細胞のこの分化が、RA濃度に依存して2相性を持つことを示した。RAは、組織内に濃度勾配を作って形態形成の位置情報として機能することが知られている。従来から始原内胚葉は均一細胞から成ると考えられているが、次段階での位置特異的な分化の分岐を考えると、F9細胞の場合のように、すでに始原内胚葉細胞分化の時点で何らかの位置情報が与えられていても不思議ではない。始原内胚葉周縁部からは壁側内胚葉細胞が分化し、栄養芽細胞層の内壁を遊走して基底膜を介してこれを裏打ちする。我々は基底膜成分の分泌を指標として、始原内胚葉様F9細胞のジブチリルcAMBによる同様の分化が可逆的出あることを主張してきた。最近、壁側内胚葉に特異的な多数のmRNAの発現をを指標に、この可逆性をさらに明確に示した。他方、内部細胞塊が円筒胚に成長すると、表面の始原内胚葉は内臓内胚葉に分化する。RA処理したF9細胞を培養皿への接着を阻止して培養すると、同様に表面に内臓内胚葉細胞が分化した胚様体になる。この分化の要因を解析するために、スピナー培養で様々なサイズの胚様体を成長させ、それらの密度差を利用してサイズ分画した。その結果、0.13mm以上の直径になると表面に上皮様細胞層が形成され、内臓内胚葉のマーカーであるα-フェトプロテインを分泌することが判明した。これは細胞集塊のサイズが分化を決定していることを示す最初の例であり、器官の大きさを加減する機構として興味深い。
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