研究課題/領域番号 |
63640509
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
伊勢村 護 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (40028197)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 胎盤 / 組織形成 / 細胞外マトリックス / 上皮細胞 / フィブロネクチン / ラミニン / プロテオグリカン / 基底膜 |
研究概要 |
ヒト胎盤の機能主体といえる胎盤絨毛の上皮構造は妊娠初期と後期で異っており、この変化には上皮基底膜と細胞の相互作用すなわち、上皮細胞と細胞外マトリックスの相互作用が関係していると考えられる。本研究ではまず、胎盤より細胞外マトリックス成分の1つであるフィブロネクチンを分離・精製し、その糖鎖構造を決定した結果、血漿のものとは全く異ることがわかり、すでに我々が生合成実験で報告した結果、すなわちフィブロネクチンが胎盤組織独自に合成・保持されているという結果を裏づけることができたた。 胎盤の基底膜成分として新たに単離したフィブロネクチン結合性のプロテオグリカン、PG-P1の腎、肝、皮膚における局在を詳しく検討した結果、これらの組織の上皮および内皮基底膜に存在することがわかり、胎盤に限らず一般的な基底膜の構成成分であることが明らかになった。フィブロネクチンやPG-P1の培養細胞に対する生物活性についてはすでにケラチノサイトを用いた検討を行なったが、今回さらに羊膜上皮細胞FL細胞に対するこれらの細胞外マトリックス成分の影響を細胞培養系で調べた。その結果、FL細胞はフィブロネクチンやラミニン表面に接着し、Arg-Gly-Aspを含むペプチドでその接着が阻害されることから、インテグリン型のレセプターを発現していると考えられた。このレセプターり構造中の^-15アミノ酸残基からなるペプチドを合成し、アルブミンに結合させて抗体を作製した結果、この抗体がフィブロネクチン表面へのFL細胞の接着を阻害することが確かめられた。また、PG-P1はそれ自体FL細胞に対する生物活性は殆ど示さないが、フィブロネクチンやラミニン表面に接着したFL細胞の伸展を著しく促進することがわかった。今後、トロホブラストの培養系を用いるなどして、細胞外マトリックスと上皮細胞の相互作用や胎盤組織形成におけるこの相互作用の役割を明らかにしたい。
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