研究課題/領域番号 |
63641508
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大隅 良典 東京大学, 教養学部, 助教授 (30114416)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1988年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 酵母 / αファクター / Ca^<2+>イオン / 細胞の極性 / 膜小胞 |
研究概要 |
酵母の半数体の接合過程は相異なる性をもつ細胞が互いに分泌する性エロモンによって支配されている。α細胞の分泌するαファクターはa型細胞に作用し、その初期過程にはSTE2遺伝子(リセプター)、GPA1(Gα)、STE4(Gβ)、STE18(Gγ)などが関与し、高等動物のシグナル伝達糸と極めて類似性の高い分子装置からなっていることが明らかになっている。一方αファクターのもう1つの作用として、細胞の形態変化-局所的細胞表層の成長による突起形成-の誘導がある。この過程は初期過程よりもさらに100倍程度も高いαファクターによって引き起こされる。本研究計画はαファクターによる形態変化の誘導現象が初期過程とは異なるシグナル伝達系によるという筆者の知見に基づいている。この形態変化の誘導は、細胞内へのCa^<2+>の動員がシグナルとなっている。低い濃度のαファクターを感知した細胞は60〜80分後に高い濃度のαファクターを感知し得る状態になり、αファクターが存在するとCa^<2+>が細胞内に取り込まれる。Ca^<2+>の動員は細胞に極性を与え、細胞内に誘導された多数の表層の成長に関与する膜小胞が細胞の一点に集中し突起形成が開始される。この過程の詳細は本年度電子顕微鏡による微細構造の観察と、連続切片の二次元構築によって明らかにすることが出来た。これらの膜小胞の単離を試み、exoグルカナーゼを指標として一定の成果を挙げることが出来た。Ca^<2+>動員に至るシグナル伝達系を明らかにすることを目指し、αファクターによって誘導されるタンパク質、αファクター作用をバイパスするcdc36、cdc39変異株によって誘導される変化について分子レベルの解析を現在進めている。さらにCa^<2+>イオンの細胞内分布を知るために液胞形成の変異株を用いた解析を行い、液胞がαファクターによって動員されるCa^<2+>イオンの主なリザーバーとして機能していることを明らかにした。
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