研究課題/領域番号 |
63850002
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮野 健次郎 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (90167677)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1988年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | LB膜 / 単分子膜 / マランゴーニ効果 / 有機薄膜連続作製装置 |
研究概要 |
液体の表面張力は温度の単調減少関数である。このため、液体表面に温度差があると、高温側から低温側へ向かって、表面張力の差によって駆動される表層流が生じる(マランゴーニ効果)。本研究は、この流れを利用して、水面上に展開された単分子膜を移動・圧縮し、同時に固体基板への累積も行う可能性を探ることを目的としている。このための予備実験として、温度勾配のつけられる小型(20×15cm^2)の水槽を製作し、単分子膜の展開・圧縮、及び累積の実験を行った。温度勾配は水槽の底を一部冷却し、上部からはヒーターで他の部分の水面を加熱するという方法を採用し、成膜物質にはステアリン酸を用いた。この予備実験によって、(1)上部からのヒーター加熱によって、冷却部に20〜40mN/mの高い圧力を発生させることができる、(2)凝縮相では、水槽の一端が固相他端が液体の状態にあるほどの温度勾配を生じさせられる、ということが見出され、累積のために都合のよい条件がととのっていることが解った。しかし他方、高温における液状ステアリン酸レンズからの急激に展開は、多層膜をなすことが見出され、累積においてもこの多層膜がそのままの形状を保つために、一様性にとぼしいLB膜になってしまった。このような非一様性を避けるためには、レンズから固体膜を生じる過程を非常にゆっくりする必要があり、連続製膜装置としてのメリットは失われてしまう。このような短所が、本方法の本質的欠陥であるのかどうかを知るためより大型(40×30cm^2)の水槽を現在製作中である。年度半ばのため、まだ水槽は完成していないが、この新らしい水槽では、より広い温度設定範囲、蛍光顕微鏡による実際の単分子膜の動きの観察、表面波を使った局所的圧力測定が可能であり、高品質LB膜を連続的に作製するための条件が決定できるものと期待される。
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