配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1989年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1988年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
がんなど医学の診断用としてアンガ-カメラが広く使われている。このカメラは医用としては大体の10年を経過すると廃棄されるのが普通である。病院で廃棄するアンガ-カメラは毎年多数ある。本研究ではこのような医用としては役に立たないアンガ-カメラを改変して,陽電子消滅用の研究に利用した。陽電子消滅法は物質中の電子の運動量分布,すなわち金属においてはフェルミ面を決定する有力な手段である。とくに合金などのランダム系においては他の方法で測定困難なため威力を発揮する。陽電子消滅法において,今まで伝統的な1次元スリット法が使われてきたが,本研究は中古の医用アンガ-カメラ2台を改造して陽電子消滅の時発生する2本のガンマ-線を面で受け,ガンマ-線の入射位置を2次元的に捕え,2台の間に同時計測を行ない,今までとは比較にならないほど(数千倍)の効率で電子の運動量分布測定を行うことができた。これは単に計測速度が速くなったのみでなく,今まで測定不可能であると思われていた実験が可能になった。また陽電子消滅は結晶欠陥に非常に敏感である。金属中の結晶欠陥測定の方法としてここ15年ほど非常に盛んになってきている。この方法が半導体中の結晶欠陥にも敏感なことが最近わかってきた。シリコン単結晶につき実験を行なった。静岡市立病院,東京大学医学部から中古のアンガ-カメラ1台づつ貰ってきて改変した。これらはがんの検出用として主に使われていたもので,ガンマ-線の位置検出機能はあるが,2台のカメラは製作会社も異なるし,回路も全然異なっていた。まず,この間に同時計測回路を組み込んだ。特に東京大学医学部からのアンガ-カメラはかなり古く,2台のカメラのメ-カ-も異なるため苦労した。しかし,改変は成功し,高効率のデ-タ-収集ができた。また陽電子消滅ガンマ-線のエネルギ-分散陽電子寿命測定も合わせて行った。
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