配分額 *注記 |
21,900千円 (直接経費: 21,900千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1988年度: 13,700千円 (直接経費: 13,700千円)
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研究概要 |
本研究ではグリース成分のうち最も重要である基油に焦点を当ててその蒸発特性と摩擦特性の解析を行った.宇宙用グリースの基油には蒸発損失が最小限に抑えられパーフルオロポリアルキル,またはパーフルオロポリエーテル油が適している.しかしこれらの含フッ素潤滑油は大気圧下での摩擦特性が余りよくないことを明らかにした.さらに,高真空下での摩擦特性を評価するために,真空チャンバー内に小型の四球式摩擦試験機を組み込んだ.これを用いて種々の含フッ素潤滑油の摩擦特性を評価した.高真空下では含フッ素潤滑油の種類(化学構造)によらず摩擦特性はほぼ等しかった.すなわち,摩擦低減能,耐摩耗性は含フッ素潤滑油の粘度によって決まることが判明した.また,含フッ素潤滑油では基油の種類によらず高真空下での摩擦特性は大気圧下での摩擦特性に比べて悪い傾向にある.特に耐荷重能はかなり低下し,実用上問題があると判断された.大気中では摩擦面に酸化破膜が生じるのでこれが耐荷重能に影響を及ぼしていると考えられた.あらかじめ酸化破膜を生成した試験片を用いて摩擦試験を行ったが,酸素が継続的に供給されないと効果的でなかった.そこで,添加剤技術による耐荷重能向上を試みた.通常の鉱油に使われる添加剤は合成潤滑油に余り有効ではないことが多い.これは含フッ素潤滑油の場合も同様で,従来の添加剤の大半は含フッ素潤滑油に難溶性である.溶解性を向上するようにパーフルオロアルキル基を持つりん酸エステルを加えたところ,耐摩耗性が若干改善されたが,実用化できるほどの性能ではなかった.
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