研究課題/領域番号 |
63850124
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
都市工学・衛生工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
花木 啓祐 東京大学, 工学部, 助教授 (00134015)
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研究分担者 |
田中 修三 明星大学, 理工学部, 教授 (00171760)
松尾 吉高 中央大学, 理工学部, 助教授 (00173807)
高橋 正宏 建設省土木研究所, 下水道部, 室長
松尾 友矩 東京大学, 工学部, 教授 (80010784)
佐藤 和明 建設省, 土木研究所・下水道部, 室長
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | 嫌気性処理 / 嫌気性ろ床 / メタン発酵 / 脂質 / 硫酸還元 / 生物膜法 / 食堂廃水 |
研究概要 |
エネルギ-多消費型の好気性廃水処理に代わるプロセスとして注目されている上向流嫌気性ろ床法に関して、実用化の観点から実験的に検討を行ない、また議論を行なった。 まず、実際の廃水への適用という意味で大学の食堂廃水への適用を試みた。その結果、20℃という嫌気性処理としては低い温度の下で十分に廃水は分解され良好な処理水が得られることがわかった。しかし、廃水中に含まれる脂質成分の分解はやや困難であった。すなわち嫌気性ろ床を単独で用いる単相消化では脂質がろ床内に蓄積していると考えられた。一方、嫌気性ろ床に先立って酸生成槽を設ける方式で運転すると脂質の分解は良好に進行した。このことから二相消化方式の有効性が示された。 上に述べた問題は脂質成分による阻害の結果起きたものである。脂質の阻害について高級脂肪酸と中性脂肪を用いた詳細な実験を行った。その結果、中性脂肪の加水分解は速いが生成する高級脂肪酸の分解に時間がかかること、中性脂肪の中では不飽和酸から構成されるトリオレインのタタンへの転換が速いことがわかった。 嫌気性ろ床内への微生物あるいは固形物の蓄積について連続実験を行った。その結果、COD除去やメタン生成が定常になってもろ床内の生物量は増え続けることがわかった。また、ろ床下部に多くの生物膜が付着したが、メタン生成能はさほど大きくないこと、など従来の研究に欠けていた有用な知見が得られた。 硫酸還元反応について別途実験を行ない、グルコ-スのような発酵性の基質が与えられると硫酸還元が活発になるが、酢酸を与えると、硫酸還元を起こさずにメタン生成が行なえる可能性があることが示された。 これらの研究の結果、実用上解決すべき問題はあるものの、嫌気性ろ床の各種廃水への適用は非常に有望であることがわかった。
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