研究課題/領域番号 |
63850152
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属材料
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
入戸野 修 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016564)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | スパッタリング膜 / 反応性スパッタリング / 鉄窒化膜 / 構造安定相 / 高堆積速度 / 磁性薄膜 / 磁気記録媒体 / 微細構造 / 構造安定性 / 磁性漂膜 / 高速堆積速度 |
研究概要 |
初年度の研究で、径10cmのFeタ-ゲットを用いる対向陰極型直流スパッタリング装置で反応性スパッタリングが可能であることが判明したが、基板加熱によりチャンバ-内の初期真空の低下の恐れがあるので、本年度は初期真空及び排気速度の向上を計り、併せて(1)放電特性の改善(2)不純物ガスや残留ガスの減少、(3)製膜に要する全所要時間の短縮化を目的とした。その結果、構造安定性鉄窒化膜の作製に関するいくつかの基礎的な新しい知見が得られた。 (1)当方式のスパッタリング装置は、使用タ-ゲットの大型化および直流電源の高出力化、基板の効率配置により推積速度の向上が期待できることが実証された。この結果は、当装置の応用範囲の拡大を示唆する。 (2)基板を石英ガラスとすると、所定の窒素ガス/放電ガス混合化では、放電電流と基板温度を制御することにより、ε相、γ'相、α相が生成できることが確証された。しかしながら、本実験条件下では、鉄化物のFe_<16>N_2相は生成できなかった。窒素濃度が制御できたことは、この鉄窒化物膜を生成できる可能性を示している。この点については、今後基板材料とFe_<16>N_2相の格子定数を考慮しての実験を計画している。 (3)室温でのスパッタ膜は、格子欠陥を多く含み格子歪大きいものであるため、構造的に不安定であり、昇温処理で格子緩和過程を経て安定相ε相に変化する。一方、基板温度が高い場合のスパッタ膜は、X線回析で比較的鋭いピ-クを示した。この結果は、本方式のスパッタリングで構造安定性鉄窒化膜を得るには基板温度を200℃以上に設定して、製膜した方が良いことを示す。この点は実用膜の作製に考慮されるべきである。 本研究で実施した排気速度の向上は、基板温度の上昇で低下する初期真空度の改善ばかりでなく、膜中の残留ガスや不純物ガスの巻込み防止にも著しい効果があった。
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