研究課題/領域番号 |
63850167
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業化学・無機材料工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
足立 吟也 大阪大学, 工学部, 教授 (60029080)
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研究分担者 |
坂口 裕樹 大阪大学, 工学部, 助手 (00202086)
田中 稔 三菱化成工業(株), 総合研究所, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1988年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 水素分離 / 水素吸蔵合金 / LaNi5 / CaNi5 / 水素分離係数 / ガス透過係数 / 一酸化炭素 / LaNi_5 / CaNi_5 / 水素 / 重水素 / 水素同位体分離 / 高分子 / 膜 |
研究概要 |
パラジウム合金膜は金属を用いた水素分離膜としては最も優れた性能を有しているが、このものは非常に高価である上、操作温度に制限があるなどの難点がある。LaNi5はパラジウムより安価でかつ低温・低圧で優れた水素吸蔵能を示す。このLaNi5を薄膜化することによる新しい水素分離法の開発が試みられてきたが、ガス透過膜速度についてはまだ充分な値に達していない。本研究では、ガス透過膜速度の向上を目指し、LaNi5よりさらに低温・低圧において水素吸収ー放出が可能なCaNi5を用いた水素分離膜の開発を試みた。分離膜は水素透過性のあるポリイミド膜上にNi膜、CaNi4.2膜を順次スパッタ法により形成させたもので、金属層の厚さは約1μmであった。1.5×10^5PaのH_2(50mol%)-CO(50mol%)混合ガスをこの分離膜に供給したところ、透過ガス中に水素が最高99%の純度で濃縮されることがわかった。また、この膜のガス透過速度はLaNi5多層膜の場合の2〜3倍大きいことが示された。Ca-Ni合金膜の主成分はNiであり、また、多層膜のベ-スにNiを用いているため、Ni膜のみの水素分離試験も行いNi/CaNi4.2多層膜との比較を行った。318〜368Kの測定温度全領域に亘り、Ni/CaNi4.2膜の透過係数はNi膜のみのそれを上回っていることが確認された。両者の差は低温領域において増大することも示された。Ca-Niアモルファス膜におよぼす水素混合ガス中のCOの影響を調べたところ、試料は368K、2.5×10^6PaのH_2ーCO混合ガス中に9日間放置された後でも全く光沢を失わず、鏡面状態を維持していることがわかった。また光電子分光分析の結果、H2-CO混合ガス処理前後で試料の表面状態はほとんど変化していないことが示された。このようにアモルファスCa-Ni膜が優れた耐性を有しているのは、膜形成直後に表面に薄いち密な酸化膜が形成され、これが保護膜となりCO膜内部への侵蝕を防げているためと考えられる。
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