研究課題/領域番号 |
63870063
|
研究種目 |
試験研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
|
研究機関 | 福島県立医科大学 (1989) 東北大学 (1988) |
研究代表者 |
山本 悌司 福島県立医科大学, 教授 (10106487)
|
研究分担者 |
大槻 泰介 国立療養所宮城病院, 臨床研究部, 医長
金子 忠延 東北大学, 医学部, 講師
岩崎 祐三 東北大学, 医学部, 教授 (00142927)
兼子 忠延 東北大学, 医学部, 講師 (10091670)
岩崎 裕三 東北大学, 医学部, 教授
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
|
キーワード | 軸索流 / 疼痛 / アドリアマイシン / 知覚神経節 / 神経痛 / 除痛法 / 知覚神経 |
研究概要 |
神経ブロックあるいは神経根切載術による除痛法は当該神経の限局的破壊が難しいこと、再発、浸襲が大きいなどの問題を残している。逆行性軸索流を利用すると、その当該神経の起始神経細胞のみに適確に薬剤をデリバリ-することが可能である。この原則を用いて、アドリアマイシンをネコ三叉神経分技に注射し、知覚神経細胞の選択的破壊が可能であることを形態学的、電気生理学的に証明した。即ち、1〜10%濃度のアドリアマイシンを三叉神経の分技に注射すると、約12時間で三叉神経節細胞に輸送され、それらのニュ-ロンは約1週間で変性し、脱落した。それと並行して、三叉神経SSEP(短潜時知覚誘発電位)は24時間で第1波から誘発不能となった。6カ月後もSSEPは誘発されず、この効果は永続的と推定された。他薬剤も試みたが、アドリアマイシンがこの目的のためには最適と考えられた。皮膚に対する作用、その他の副作用は1-2%濃度では無視出来るものと判定された。 本法を用いて三例の疼痛に悩む患者に応用した。その内2例は帯状ヘルペス後神経痛であり、3例目は各種治療法が無効であった三叉神経痛の症例である。三例とも確実を期するため、神経を手術的に直視下に確認し、1%アドリアマイシンを注入した。数ケ月後の判定で、第1例目は完全な除痛、2例目は50%、3例目は約70%の除痛効果があったと判断された。このレポ-トの反響は海外からも幾つか問い合わせが来ていることから、大きいと思われる。本法は目的神経のみを選択的に破壊することが可能であり、安全性が高い。かつ、ブロック、切載術後に見られる神経再生現象はないことから、再発の可能性が低いものと推定される。本研究により臨床的レベルにまで応用が可能になった除痛法としてより多くの疼痛例に使用を検討中である。
|