研究概要 |
日本白色種(日白種)ウサギは各種医薬品,化粧品の薬効,安全性,毒性,催奇形あるいは発熱試験等,試験・検定分野で大量に用いられている。これらの実験用ウサギは20を越すブリ-ダ-によって主としてクロ-ズドコロニ-として維持,生産されているものの,上記諸反応に関してコロニ-間でかなりの差異がある。このようなウサギのコロニ-間および個体間のバラツキは世界的にも問題となっており,マウス,ラットなどの実験動物に比べて遺伝的統御は非常に遅れている。少なくとも日白種という名称をもったウサギを用いた実験は再現性があるように,この品種を代表するような標準的な系統を作出する必要がある。本研究は,以上の目的を達成するために,わが国の日白種ウサギ主要ブリ-ダ-に対するアンケ-ト調査,下顎骨分析,血漿蛋白質多型分析,DNAフインザ-プリント分析などを実施し,これらの結果をもとに日白種ウサギの標準系統を作出あるいは選択しようとしたものである。 初年度における下顎骨分析と2年度の血漿蛋白質多型分析成績を検討した結果,わが国における日白種ウサギコロに-は大きく6群に分けることができた。そして,この結果を踏まえ,日白種ウサギを代表するような標準系統を定めるには次の二つの方法が考えられた。 1.上記6群からそれぞれ一つのコロニ-を選んで6元雑種を作出し,それを基礎集団としてクロ-ズドコロニ-として育成する。これは,最も理想的な方法であるが作出する迄に多大の労力,時間を必要とする。 2.6群のうち,最大のコロニ-を含む群から遺伝的に最も均一なコロニ-を選択し,これを標準系統と定める。 いずれにしても,今年度確立したDNAフインガ-プリント法で作出あるいは選択した標準系統の遺伝学的な適否を再確認する必要があろう。
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