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シンクロトロン放射光蛍光X線分析による美術,考古学試料の2次元非破壊分析

研究課題

研究課題/領域番号 63890003
研究種目

試験研究(B)

配分区分補助金
研究分野 広領域
研究機関筑波大学

研究代表者

中井 泉  筑波大学, 化学系, 講師 (90155648)

研究分担者 山崎 一雄  名古屋大学, 名誉教授
望月 明彦  国立沼津工業高等専門学校, 工業化学科, 助教授 (40043161)
飯田 厚夫  高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助教授 (10143398)
河嶌 拓治  筑波大学, 化学系, 教授 (50041760)
研究期間 (年度) 1988 – 1990
研究課題ステータス 完了 (1990年度)
配分額 *注記
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1990年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1989年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1988年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
キーワード放射光 / 蛍光X線分析 / イメ-ジング / 非破壊分析 / 美術考古学試料 / 2次元分析 / 状態分析 / 文化財 / イメージング / X線吸収端
研究概要

最終年度はこれまで不十分であった状態分析に重点を置いて研究を進め、以下の成果が得られ美術考古学試料の新しい分析法として確立できた。
a)古代鉄器の腐食相の状態分析
弥生時代のものと推定される腐食した鉄刀について、鉄の2次元状態分析を行った。試料は中心部に反射率の高い金属鉄の地相があり、周辺部は赤褐色のさび相が発達している。またその外縁部には黒色のやや反射率の高い相が帯状に広がっている。それぞれの部分について、鉄の吸収端スペクトルを測定した結果、黒色の酸化相は四三酸化鉄(磁鉄鉱Fe_3O_4)の様な2価と3価の鉄を含むもの、赤褐色の酸化相の部分は酸化第二鉄または針鉄鉱(FeOOH)であることがわかった。さらに選択励起蛍光X線分析により、状態別の2次元イメ-ジを得、鉄器の鉄地相とさび相の分布状態をイメ-ジとしてとらえることができた。このような分析は放射光蛍光X線分析で始めて可能になったものである。
b)天目茶碗の油滴の状態分析
中国福建省建窯の窯跡からプラマ-教授が1935年に採集した油滴文様のある天目茶碗の破片について研究を行った。本研究は建窯で焼造された曜変天目茶碗の研究の一貫として行ったもので、油滴の実体と成因を明らかにすることを目的とした。油滴の部分は周囲の地の部分に比べて鉄が濃縮しており、鉄のK吸収端スペクトルにより両者の状態を比較した。標準試料との比較により、油滴の部分のスペクトルの吸収端エネルギ-はFe_2O_3に類似し、また地の部分のスペクトルのエネルギ-はFe_3O_4に近く、前者の方が含まれる鉄はより高い酸化的状態にあることがわかった。油滴の成因として焼成時に於ける内部からの気泡の発泡によるという説が有力であるが、今回の結果は内部から酸素などの酸化性のガスが発生し、周囲に比べて鉄が酸化されたと考えると妥当である。

報告書

(3件)
  • 1990 実績報告書
  • 1989 実績報告書
  • 1988 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] I.Nakai: "Application of Synchrotron Radiation to Archaeological Objects (TV)" Photon Factory Activity Report. 7. (1990)

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書
  • [文献書誌] 中井 泉(共著): "国立史歴民俗博物館研究報告「歴史資料の非破壊分析法の研究」" 国立歴史民俗博物館, (1991)

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書
  • [文献書誌] I.Nakai: "Application of Synchrotron Radiation to Archaeological Objects (III)" Photon Factory Activity Report. 6. 142 (1989)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 中井泉: "国立歴史民俗博物館研究報告「歴史資料の非破壊分析法の研究」" 国立歴史民族博物館, (1991)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 中井泉: 化学. 43. (1988)

    • 関連する報告書
      1988 実績報告書
  • [文献書誌] I.Nakai: Photon Factory Activity Report. 6. (1989)

    • 関連する報告書
      1988 実績報告書
  • [文献書誌] I.Nakai: Photon Factory Activity Report. 5. 135 (1988)

    • 関連する報告書
      1988 実績報告書
  • [文献書誌] A.Mochizuki: Photon Factory Activity Report. 5. 136 (1988)

    • 関連する報告書
      1988 実績報告書
  • [文献書誌] 望月明彦: "エジプト・イスラーム都市アルニフスタート発掘調査報告1978ー1985 第4章第13節化学分析" 早稲田大学出版部,

    • 関連する報告書
      1988 実績報告書

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公開日: 1988-04-01   更新日: 2016-04-21  

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