研究概要 |
本研究は,超音波の伝播速度の応力依存性を調べ,それを利用した非破壊応力測定法の基礎を確立することである.この研究によって,以下の知見を得た. A)表面波を用いた応力測定法について 1)市販(昭和56年現在)のシングアラウンド測定装置を改良し,0.2nsec程度の周期計測精度の測定系(測定系A)およびtimeーofーflight時間計測を0.05nsec程度の精度で行う測定系(測定系B)を構成した. 2)表面波の送受信には,ナイフエッジ型縦波用振動子(試作)およびくさび型振動子(試作)を使用した. 3)アルミニウム合金(5152および2017)について,a)引っ張り試験およびb)片持ちばりの曲げ試験を行い応力と表面波の伝播速度の変化率との関係を調べた. 4)表面波の伝播速度の変化率は,応力に比例することが明かとなり,表面波の応力音弾性係数を求めた. B)縦波を用いた応力測定法 1)シングアラウンド装置(平成3年現在)の使用により,0.05nsec程度の精度での周期計測が可能となった. 2)送受信子は市販の縦波の超音波探傷子および試作品を使用した. 3)アルミニウム合金(5152および2017)および軟鋼(SS41)について,引っ張り試験を行い応力と軸方向の縦波の伝播速度の変化率との関係を調べた. 4)縦波の伝播速度の変化率は,応力に比例することが明かとなり,縦波の応力音弾性係数を求めた. 以上の結果,応力測定の基礎が明確になり,超音波を用いた非破壊応力測定が可能となった.
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