公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究のねらいは、カーボンおよび遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)などの一次元および二次元ナノ構造を有する元素ブロックプラットフォームを活用して有機分子発色団会合体の固定化や、高効率光電変換系の構築を目的としている。1)2015年度までの研究で、ピレニルフェニルラジカルの単層カーボンナノチューブ(SWNT)側壁への直接付加反応により、ピレン二量体が連結した複合体が得られることを見出している。2016年度の研究では、同様のアリールラジカル付加反応を利用して、SWNT側壁上でのポルフィリンダイマーの形成を行った。スペーサーとして、フェニレン、ナフタレン、フランなどの種々の構造を用いたが、m-フェニレンスペーサーを用いた場合に、紫外-可視吸収スペクトルにおいて最もソレー帯の分裂が顕著に観察された。また、全てのポルフィリンダイマー-SWNT連結系において、ソレー帯励起によるエキシプレックスの形成が過渡吸収スペクトルにより確認された。さらに、m-フェニレンスペーサーを用いた場合に最もエキシプレックス状態の寿命が長くなることがわかった。2)剥離したMoS2やWS2などのTMDを泳動電着法により酸化スズ上に薄膜化した修飾電極が、高い光電流発生効率(外部量子収率(IPCE)= 12-14% (400 nm))を示すことを、2015年度までの研究で明らかにしている。2016年度の研究では、フラーレンとの複合膜の作製に成功し、単成分膜と比較して光電変換効率の大幅な向上を達成した(IPCE = 23-35% (400 nm))。マイクロ波伝導度測定などから、TMDをフラーレンと複合化することにより、光電荷分離およびSnO2電極への電子注入がより効率よく起こったため、あるいは、酸化スズ電極に注入された電子とTMDに形成された正孔との再結合が抑制されたためと考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 7件、 招待講演 7件) 備考 (1件)
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