公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
重力波検出器LIGOの最初本格運用O1終了を受け、重力波事象の追観測体制およびデータ解析法の見直しと改善を実施した。重力波のアラートは、ガンマ線バースト用のアラートシステムGCNから直接受け取る様にし、重力波検出後最短で20分以内に観測を開始できる様にした。また、O1の際には2分露出での浅い観測だったが、限界等級20等以上を達成するために、10分露出に変更した。また、小惑星などの移動天体と区別するために、同じ場所を時間をおいて2回以上観測することにした。データ解析は、画像同士の引き算と行う差分法を導入し、自動化を進め、観測後3日以内に結果が出る様にした。この結果、中性子星連星合体などによるキロノバなどの電磁波放出が継続している10日以内に、対応天体を特定してスペクトル観測などによる詳細な研究が可能となった。この手法に基いて、LIGOグループの第2の本格運用O2の観測を実施中である。O1の際には、他目的のサーベイ観測を含めて大量のデータを保有していたが、これらの解析をすべて終了した。その結果、O1のデータの中には候補天体は無いという結論になった。これは、O1で追観測を行った2個の事象が、いずれも電磁波放射が期待できないブラックホール連星の合体だったこととつじつまが合う。O1の観測結果については、日本天文学会の欧文誌PASJの論文2本に発表するとともに、日本天文学会年会や重力波研究会などで発表している。本研究終了後もLIGOグループの観測は継続している。また、VIRGOやKAGRAなどの新しい重力波検出器が稼働に向けて準備が進んでいる。新グループの参入によって位置決定精度が向上し、電磁放射を伴う事象が発生すれば、本研究で確立した手法に基いて重力波天体を同定できる。それに基づき、スペクトル観測が実施されれば、重元素の起源など宇宙の謎の解明が期待できる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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