配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2016年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2015年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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研究実績の概要 |
昨年度までに、光応答性ナノ材料(金ナノロッド, AuNR)を生体材料(高比重リポタンパク質, HDL)の変異体で被覆すると、この複合体(pm-AuNR)は脂質二重膜への高い親和性を獲得し、熱感受性神経細胞を安全に光活性化できること、細胞サイズリポソーム(GUV)の相を変化させることを報告した。pm-AuNRは、生細胞を懸濁可能な等張リン酸緩衝液(PBS)とGUVが分散できる200 mM sucrose溶液の両方で良好なコロイド安定性を示す。逆に言えば、この両溶液中での高いコロイド安定性があったことがこれまでの研究を可能にしたと言える。申請者の知る限り、両溶液中で安定に分散できるナノ材料の報告例はないため、この分散安定化のメカニズムを調べた。 pm-AuNRのゼータ電位は、50 mMからsucrose濃度を増加させると約35 mVから単調に減少し、約20 mVに近づいた。この結果から、sucrose分子とpm-AuNRとの静電的な相互作用を予想し、pm-AuNRに含まれる陽電荷脂質(30 mol%)を20, 10, 0 mol%と段階に減少させ、さらに陰電荷脂質を10, 20, 30 mol%含む計6種類のpm-AuNRを新たに作製した。すると陽電荷脂質含量の低下と共に200 mM sucrose中でのpm-AuNRのコロイド安定性が低下し、陰電荷脂質を含むものは全く分散しなかった。 次にHDL構成タンパク質であるapoA-Iを除去したpm-AuNRのコロイド安定性を調べると、200 mM sucrose中でやや低下し、さらに陽電荷脂質を除去すると、ほぼ完全に凝集した。以上の結果から、pm-AuNRに含まれる陽電荷脂質とsucroseとの静電的な相互作用がsucrose中でのpm-AuNRのコロイド安定性に寄与することが示唆された。
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