公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
原子核の飽和性のため、地上原子核実験で得られる情報は基本的に飽和密度付近のものに限られる。また、標準核密度を優に超える中性子星物質に対する状態方程式は、理論的にはいくつも提唱されているが未だ決まっておらず、中性子星の詳細な構造も不確定である。そのため、中性子星の観測はこのような高密度領域における物理を探る上で非常に有益である。地上実験では原子核飽和パラメータに制限をある程度与えることができるため、その範囲で低密度側における状態方程式を記述することができる。実際、中心密度が飽和密度の2倍程度までであれば、中性子星の半径や質量をうまく飽和パラメータで記述できることがわかっている。一方、高密度側の状態方程式は実験的な制限はないが、音速という物理量が一つの重要なパラメータとなる。理論的には、音速は光速を超えないという制限がある一方、安定性からは音速は非負である必要がある。また、原子核物理に於いて高密度における音速は光速を3の平方根で割ったものを越えないという推論がある。そこで、低密度側を原子核飽和パラメータで、高密度側を最大音速でパラメータ化した状態方程式を用いて中性子星の構造を解析したところ、中性子星の最大質量を原子核飽和パラメータと高密度領域の最大音速でうまく表すことに成功した。現在、観測されている中性子星の最大質量として、(2.74±0.21)太陽質量が正しいとすると、現在の原子核飽和パラメータの制限に於いては高密度領域の最大音速は少なくとも光速の75%以上でなければならないことになる。今後、より重い中性子星の観測を通して、高密度領域における最大音速により厳しい制限を与えることができ、その結果、高密度における状態方程式にも制限を与えることにつながる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 謝辞記載あり 10件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 13件、 招待講演 5件)
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