公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ナノ領域での非一様光の性質による近接場光の特異的性質によってもたらされるエネルギー情報変換によってCO2を高効率に分解する材料の開発を行う。CO2を直接乖離するためには波長160nm以下の短波長光が必要となるが、近年可視光に吸収を持つRu-Re錯体を介したCO2の還元が注目されている。このRu-Re錯体中では、まずRu中で励起された光によって電子・正孔対が発生し、このうち電子がReに移動される。次にこのRe中の電子によってCO2の還元が発生する。本年度は、CO2還元に必須となる、近接場光による錯体の吸収スペクトルの長波長化について検討を行った。近接場光発生源として、表面にナノ突起構造を有するZnOナノ微結晶を合成した。このZnOナノ微結晶に発生する近接場光を高効率にReに伝えるために、レニウムビピリジン錯体(Re(bpy-COOH))をZnOナノ微結晶に化学的に吸着させた。合成された、ZnO-Re材料に対して、吸収スペクトルを計測することで、近接場光の効果を検討した。その結果、ZnOナノ微結晶がないRe(bpy-COOH)単体と比較してZnO-Re材料では、吸収スペクトルが長波長シフトすることを確認した。さらに、ZnOナノ微結晶として、合成温度を調整することで、表面ナノ構造の大きさを制御した材料を複数作製し表面ナノ構造の違いによる吸収スペクトルの変化を検討した。その結果、よりナノ構造の大きいナノ微結晶において、より長波長シフトを確認した。上記の結果より、吸収スペクトルの長波長シフトがナノ微結晶表面に発生した近接場光による効果であることが確認できた。これは、ナノ微結晶表面に発生した非一様光場によって、従来励起できなかったRe錯体の中間準位を励起可能とし、この中間準位を介した多段階遷移により長波長側での吸収が増大したと考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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